デ・ハビランド ホーネット

DH.103ホーネット

DH.103ホーネット（de Havilland DH.103 Hornet）は、デ・ハヴィランド社によって開発され、第二次世界大戦後にイギリス空軍において運用された戦闘機です。また、イギリス海軍ではDH.103シーホーネット（de Havilland DH.103 Sea Hornet）としても利用されました。この機体は、名機DH.98モスキートの流れを受け持ち、イギリス製のレシプロ機の中で最高速を誇る戦闘機として評価されています。しかし、残念ながら第二次世界大戦には配備が間に合わず、戦後に極東方面などでの運用が開始されました。

概要

ホーネットは、元々デ・ハヴィランド社が自主的に開発した機体ですが、イギリス空軍からの仕様書によって正式な試作機が発注されることとなりました。初飛行は1944年7月で、飛行試験では776km/hというイギリス製プロペラ機中最高の速度を記録し、これが制式採用につながりました。生産型の第1号機は1945年2月に完成しました。ホーネットはモスキートと同じく胴体は全木製で、主翼は上面が木製、下面が軽合金製という特徴を持っています。ただし、ホーネットの胴体はさらに鋭く整形され、軽量化が図られています。

この機体は長距離戦闘機として設計されており、特に燃料容量が大きく、後期型では最大で4,000kmを超える航続距離を実現していました。さらに、離着陸時の安定性を向上させるために、左右のエンジンの回転方向が逆に配置され、視界を遮らないようにコクピットは機首の先端に近づけられたなど、様々な工夫が施されています。これらの要素から、ホーネットは究極のレシプロ双発戦闘機と称されることもあります。

しかし、主脚に関しては若干の弱点があり、外地での運用中に脚が折れる事故も発生しました。イギリス空軍では、この機体を対日戦争に用いることを計画し部隊への配備を進めていましたが、結局配備が完了したのは1946年となり、第二次世界大戦には間に合わずじまいでした。生産は1952年6月まで続き、主にマレーの共産ゲリラ鎮圧に用いられました。その後、ホーネットは1955年にグロスター・ミーティアにその座を譲り、退役しました。イギリス空軍に納入されたホーネットの機数は211機に達します。

シーホーネット

ホーネットの艦上戦闘機型がシーホーネット(de Havilland Sea Hornet)であり、これは着艦フックや翼折りたたみ機構、さらには離艦補助ロケットブースターなどの改修がなされていました。これにより、地上型よりもわずかに機体重量が増加します。試作1号機は1945年4月に完成しましたが、各部の改修に時間がかかり、部隊への配備はホーネット同様、1949年1月となりました。シーホーネットは実際に航空母艦上で運用されましたが、実戦には参加しませんでした。さらに、複座型の夜間戦闘機や偵察機の型も生産され、合計で198機が製造されました。

現存する機体

現存するホーネットに関する情報は限られていますが、例えばNF.21型のVW957号機の後部胴体やその他の機体の翼、主輪や尾輪、風防2点、主脚下部、エンジンの背面や下部カウリングなどがまだ残っているとされています。これらはホーネットの重要な歴史的遺産として、航空機ファンや歴史愛好家にとって貴重な存在です。

まとめ

ホーネット及びシーホーネットは、第二次世界大戦後の航空戦における重要な機体であり、その性能や設計の巧妙さから多くの支持を集めました。各機体はその後の航空機開発にも影響を与えた名機として、航空ファンにとっても記憶に残る存在です。

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