デ・ハビランド DH.108

デ・ハビランド DH.108 スワローについて

デ・ハビランド DH.108 スワローは、イギリスにおける高速飛行の研究を目的とした無尾翼の試験機です。この機体は、音速を超える性能を示したものの、操縦中に事故が発生し、パイロットを数名失うという悲しい歴史も持っています。

開発の背景

1945年に始まったDH.108の計画は、デ・ハビランド社の量産型飛行機であるバンパイアの胴体に後退翼と垂直尾翼を組み合わせる形で進められました。この試作機は、空力特性を研究することを目的とし、音速を超える飛行性能を確認する重要な実験機となりました。

機体の詳細

DH.108は3機の試作機が製造され、最初の機体TG283は1946年5月15日に初めての飛行を成功させました。この機体は、デ・ハビランドのゴブリンシリーズのターボジェットエンジンを一基搭載しており、高速飛行に適した構造を備えています。

主要なスペック

• - 乗員: 1人
• - 翼幅: 11.89 m
• - 全高: 4.27 m
• - 翼面積: 30.47 m²
• - 積載時重量: 4,064 kg
• - パワープラント: デ・ハビランド ゴブリン-4 ターボジェット (推力 3,738 lbf)
• - 最高速度: 1,090 km/h
• - 航続距離: 1,175 km
• - 上限高度: 10,800 m
• - 翼面荷重: 133 kg/m²
• - 推力重量比: 0.42

試験飛行と成果

DH.108は、その後の開発過程でいくつかの事故に見舞われました。1946年9月27日には、パイロットであるジェフリー・デ・ハビランド・ジュニアが死亡する事故が発生しました。彼はデ・ハビランド社の創設者の息子でもあり、その喪失は同社にとって大きな痛手となりました。
また、1946年には2機目のTG306が飛行を開始し、試験は続けられました。最終的には、VW120が1948年9月に音速を突破する成果を挙げ、これは高速飛行における歴史的な瞬間とされています。

1950年までは、亜音速から遷音速への飛行特性を探求するための試験が行われましたが、残念ながらこれらの試作機はすべて事故で失われ、多くのパイロットが命を落としました。
無尾翼機のデザインは、その後の航空機設計に大きな影響を与え、音速飛行の実現に向けた重要なステップとして評価されています。

まとめ

デ・ハビランド DH.108 スワローは、航空機の音速飛行に関する貴重なデータを提供し、その過程で多くの犠牲を伴いました。日本でも、航空機設計の発展において無尾翼機の特性を学ぶことは非常に重要な意義を持っています。

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