デ・ハビランド ゴブリン

デ・ハビランド ゴブリン

デ・ハビランド ゴブリン（de Havilland Goblin）は、初期のターボジェットエンジンとして知られ、イギリス航空機技術の発展に大きく寄与しました。当初はハルフォード H-1という名称で設計されたこのエンジンは、フランク・ハルフォードによって1941年に設立されたコンサルティング会社で開発されました。ゴブリンは、イギリスの航空機用ジェットエンジンとしては2番目に登場し、「ガス・タービン」の認定試験に合格した最初のエンジンでもあります。

設計の特徴

ゴブリンの設計は、フランク・ホイットルによる遠心圧縮型を基本にしていますが、ハルフォードはエンジン入口を前面に配置した片側圧縮型を採用しています。圧縮した空気は16の独立した燃焼室に供給され、それがタービンを駆動します。この設計により、ハルフォードは主要なベアリングを一つ取り除くことに成功し、エンジンをコンパクトに保つことができました。

最初の試運転は1942年4月に行われ、その性能が確認されました。1943年3月5日にはグロスター ミーティアでの初飛行が実施され、同年9月にはデ・ハビランド バンパイアに搭載されてさらに試験が進められました。この時期にはデ・ハビランド社がハルフォードの会社を買収し、H-1はゴブリンと名付けられました。その後、H-2は新たに設計されたゴーストと改称されました。

海外での利用

1943年7月には、ゴブリンの一基がアメリカに渡り、P-80シューティングスターに搭載されることが決まりました。しかし、そのエンジンは試作機の地上試験で事故に遭い、破壊されてしまいました。そのため、残っていたエンジンの一基がバンパイアから取り外され、再度アメリカに送られました。アリス＝チャルマーズ社はこのエンジンをJ36としてライセンス生産することになりましたが、生産開始は遅れました。

バリエーション

ゴブリンにはさまざまなバリエーションがあります。初期モデルのH.1は規定推力2,300 lbf（10.2 kN）で開発されましたが、量産型では2,700 lbf（12.0 kN）に引き上げられました。その後、より強力なモデルとしてゴブリン II（3,100 lbf）、ゴブリン 3（3,350 lbf）、そしてゴブリン 4（3,750 lbf）が次々と登場しました。

使用機種

このエンジンは、デ・ハビランド バンパイアやサーブ 21R、フィアット G.80など、複数の軍用機で使用されました。さらに、スポーツボートであるBluebird K4にも搭載され、幅広い分野で利用されました。現在でも、いくつかの航空博物館でゴブリンエンジンが展示されています。

まとめ

デ・ハビランド ゴブリンは、その先進的な設計やコンパクトな構造により、航空機用ジェットエンジンの歴史において重要な役割を果たしました。現代の航空エンジン技術の礎を築いたこのエンジンは、現在でも様々な場面でその影響を感じることができます。

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