デ・ハビランド・カナダ DHC-5

デ・ハビランド・カナダ DHC-5 バッファローに関する詳細

デ・ハビランド・カナダ DHC-5 バッファローは、カナダのデ・ハビランド・カナダ社（現ボンバルディア・エアロスペース）が開発したSTOL（短距離離着陸）輸送機です。愛称の「バッファロー」は、アメリカバイソンの俗称を取っています。本機は、前作のDHC-4 カリブーを基にして設計されたもので、輸送機としての多様な能力を持っています。

機体の特徴と設計

DHC-5は、カリブーの設計を発展させており、胴体を大型化し、エンジンにはターボプロップを採用しました。初めはカリブーIIと呼ばれていましたが、尾翼がT字型に変更され、識別性が向上しました。このT字尾翼の採用により、低速での安定性が改善され、ターボプロップエンジンにより荷物運搬能力と速度も向上しています。特に、低速での安定性を活かす形で、カナダ軍では捜索や救難任務にも利用されています。

開発の背景

DHC-5は、カリブーの後継機としてアメリカ陸軍の要求に応じて開発されました。その要求は、MGM-31 パーシングミサイルなどの大型機材を運ぶ輸送機の必要性に応えるものでした。1964年4月9日には初飛行が行われ、評価試験のために発注された初号機はその後CV-7、C-8と改称されたものの、アメリカ陸軍による正式な採用には至りませんでした。

しかし、カナダ空軍はこの機体を改良したDHC-5A型を採用し、15機の発注がありました。その後、ブラジルやペルーなどからの発注も集まりました。初期の生産が終了した後も需要が高かったため、1970年代中盤からはDHC-5Dと呼ばれる改良型の生産も開始され、最終的には合計122機が製造されました。さらに、ボンバルディア社から製造権を受けたバイキング・エア社はDHC-5NGという名称での再生産を計画しています。

派生型の種類

DHC-5にはいくつかの派生型が存在します。以下はその一部です。

• - DHC-5A: 初の量産型で、ゼネラル・エレクトリック製CT64-810-1エンジンを搭載し、最大ペイロードは6,279kgです。
• - DHC-5B: CT64-P4Cエンジンを搭載予定の派生型で、開発計画のみです。
• - DHC-5C: ロールス・ロイス ダート RDa.12エンジンを搭載予定の計画のみの型です。
• - DHC-5D: 改良版で、CT64-820-4エンジンを搭載し、ペイロードが8,165kgに増加しています。
• - DHC-5E トランスポーター: 民間向けのタイプで、1981年に型式証明を得ましたが、商業的な発注には至りませんでした。

採用国

DHC-5は多くの国で使用され、以下の国々がその採用国として知られています：

• - カナダ・エクアドル・エジプト・ブラジルなど、計14か国以上。特に民間の貨物輸送や軍事任務において、その活躍が評価されています。

基本性能

以下は、DHC-5Dの基本的な性能です。

• - 全幅: 29.26 m
• - 全長: 23.56 m
• - 全高: 8.75 m
• - 空虚重量: 11,412 kg
• - 最大離陸重量: 22,317 kg
• - 最大速度: 467 km/h（高度3,050 m）
• - エンジン: GE CT64-820-4（出力：2,336kW）×2基
• - 実用上昇限度: 9,450 m
• - 航続距離: 1,112 km（最大ペイロード時）
• - 乗員: 3名

デ・ハビランド・カナダ DHC-5 バッファローは、その高い柔軟性と能力により、さまざまな場面で必要とされ続けている輸送機です。

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