デ・ハビランド・カナダ DHC-8

デ・ハビランド・カナダ DHC-8

デ・ハビランド・カナダ DHC-8は、1980年代初めにカナダのデ・ハビランド・カナダ社によって開発された双発ターボプロップの旅客機です。1992年、デ・ハビランド・カナダ社はボンバルディア・エアロスペース社に吸収され、その後も製造は続けられましたが、機体は「ダッシュ 8（Dash 8）」という名称に改められました。1996年以降、騒音と振動を抑える技術が導入され、Q シリーズ（Quiet Series）と名付けられた改良型が展開されるようになりました。DHC-8は、累計800機以上が製造されており、特に日本では-100/-200シリーズが1990年代後半から運航され、Q300/Q400シリーズは2003年から地方路線で活躍しています。

開発経緯

デ・ハビランド・カナダは、世界初のジェット旅客機コメットを製造した企業で、そのカナダの子会社による開発です。前作のDHC-7は乗客を50名ほど収容できる設計で、与圧された客室を持ちましたが、四発機であったためコスト面での競争に負けてしまいました。顧客からは、より経済的で性能の高い機体が求められ、DHC-8の開発が1979年に始まりました。1983年7月20日には初飛行を果たし、その後ボンバルディアが型式証明を取得して改良機の生産を続けました。

機体の特徴

DHC-8の機体形状は、従来のDHC-7をベースにしながらも、主翼は直線翼の高翼配置を採用しています。エンジンはターボプロップの双発で、プラット・アンド・ホイットニー社製のPW120エンジンを使用しています。機体は与圧されており、客室は快適な設計となっています。さらに、Q シリーズでは騒音と振動の軽減装置が装備され、乗客の快適性が向上しました。

バリエーション

デ・ハビランド DHC-8には多くのバリエーションがあります。例えば、シリーズ 100は37～40席で1984年に運用が開始され、シリーズ 200はより強力なPW123エンジンを搭載した改良型です。さらにシリーズ 300は、胴体を延長したモデルです。ボンバルディアによるQ シリーズでは、DHC-8-200とDHC-8-300の改良版が提供され、最も大きなモデルはQ400です。これらのモデルは、客室の座席数や貨物スペースの拡大を目的とした設計改良が特徴です。

日本での運用

日本では、DHC-8は1990年代から地方路線で導入されてきました。特に、日本エアコミューターや琉球エアーコミューターなどの航空会社が運航し、地方や離島へのアクセスに貢献しています。日本エアコミューターでは、過去に運航していたQシリーズ機材の代替としてQ400CCを導入し、貨物輸送能力の増強を図りました。

現在の状況

近年、ANAウイングスはQ400の運航を続けていますが、2025年以降に認定中古機を導入すると発表しました。このように、デ・ハビランド・カナダ DHC-8は、歴史的な背景と共に今も多くの航空会社で使用されており、その信頼性と経済性から地方路線の主力機として位置づけられています。これからの展開にも目が離せません。

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