デ・ヤング美術館

デ・ヤング美術館について

デ・ヤング美術館（M. H. de Young Memorial Museum）は、アメリカのカリフォルニア州サンフランシスコにある著名な美術館です。美術館は、広大なゴールデン・ゲート・パークの中に立地しており、地域の文化的な重要性を象徴する存在となっています。

沿革

この美術館の起源は、1894年の万国博覧会にさかのぼります。当時のファイン・アート・ビルディングを利用して、1895年に正式に開館しました。この際の委員長は、サンフランシスコ・クロニクルの創設者であるマイケル・ハリー・デヤングであり、彼の名を冠して美術館の名前が決定されました。当初の建物は、1906年のサンフランシスコ地震により大きな被害を受けましたが、1年半の修復期間を経て再オープンしました。

その後、美術館の成長に伴い、1919年にはスペイン風の新しい建物が設計され、1921年には中央部と塔が追加されることで、M・H・デ・ヤング・メモリアル・ミュージアムという名称に変更されました。1925年のデヤング氏の死後も、さらに西翼が追加され、ますます多様なコレクションに対応できるようになりました。

1960年代にはアベリー・ブランデージがアジア美術コレクションを寄贈したことにより、新たにブランデージ棟が建設されました。その後、アジア美術館として分かれ、2001年に移転して独立した美術館として再オープンしています。

美術館は1989年のロマ・プリータ地震によって再び被害に遭い、長年の資金調達の末に新しい建物の建設が決定されました。2000年の年末には一時閉館し、2005年に新たな建物でリニューアルオープンしました。新しいデザインはスイスの建築家ヘルツォーク＆ド・ムーロンによって手掛けられ、現代的で洗練された空間が生まれました。

コレクション

デ・ヤング美術館のコレクションは、アメリカ美術やネイティヴ・アメリカンアートに加え、ファッション、テキスタイル、写真、アフリカやオセアニアの美術品など非常に多岐にわたります。

アメリカ美術

美術館のアメリカ美術コレクションに含まれる作品は、1,000点以上の絵画や800点の彫刻、3,000点以上の装飾美術品があり、その時代は1670年から現代までを網羅しています。これにより、アメリカの文化と歴史を感じることができる貴重な空間となっています。

インターナショナル・コンテンポラリー

1988年からは国際的なコンテンポラリーアートの収集も始まりました。インスタレーションアートやビデオ作品など、幅広いメディアで表現された作品が含まれています。特に、近年はカリフォルニアを拠点にしたアーティストの作品も紹介されており、ブルース・ナウマンやエド・ルシェの作品が所蔵されています。

テキスタイルとコスチューム

デ・ヤング美術館は、12,000点以上のテキスタイルを所蔵しており、アメリカ国内でも最大級のコレクションを誇ります。内容は、民族衣装や中心的な文化を反映した作品から、歴史的な織物やファッションまで多岐にわたり、また、1930年代からは現代ファッションに関する特別展も行っています。

その中でも、特に貴重な品々としてはトルクメニスタンのカーペットや、12世紀から15世紀の中央アジアや北インドの絹製品、アナトリア半島のキリム、欧州のタペストリーが挙げられます。

このように、デ・ヤング美術館は多様な文化を反映した大規模なコレクションと、豊かな歴史を持つ文化的なランドマークであり、訪れる者に深い感動を与える場所となっています。

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