データ完全性

データ完全性とは

データ完全性（データインテグリティ）とは、情報処理や電気通信の分野で、データが全て揃っていて欠損や不整合がない状態を指します。これは、データの正確性、一貫性、および信頼性を保証する上で非常に重要な概念です。データが操作（転送、格納、検索など）される際に、期待されるデータ品質を維持することを目的とします。簡単に言えば、データ完全性とは、データが一貫性を保ち、正しくアクセスできる状態を保証することです。

関係データベースにおけるデータ完全性

関係データベースにおいては、データ完全性はデータの正確性と妥当性を意味します。多くの関係データベース管理システム（RDBMS）では、データの完全性を保証するために、以下のような機能が提供されています。

一意性制約: 特定の列に重複する値を許可しない制約です。
CHECK制約: 列の値が特定の条件を満たすことを要求する制約です。
参照整合性制約: エンティティ間の関係を維持し、関連するデータ間の矛盾を防ぐ制約です。

参照整合性とは、例えば、「AさんがBさんの配偶者である」という関係がある場合、「Bさんの配偶者の配偶者」は必ずAさんでなければならないという概念です。もしBさんの配偶者の配偶者がCさんである場合、データの正確性に問題が生じます。参照整合性の確保は、データの不整合を防ぎ、データ完全性を保つために重要です。なお、相互参照のような不適切な関係の正規化は、データ完全性の維持を困難にするため、適切な正規化が不可欠です。参照整合性を保つ制約は、例えば、親データが存在しない子データが作成されたり、子データが存在する親データが削除されたりするのを防ぐ仕組みとして機能します。

情報セキュリティにおけるデータ完全性

情報セキュリティの分野では、データ完全性はデータの妥当性を指します。データ完全性は、以下のような要因によって損なわれる可能性があります。

悪意ある改ざん: 攻撃者が銀行取引の金額や認証書類を改ざんする行為です。
事故による改ざん: データ転送時のエラーやハードディスクの故障などによって発生するデータ破損です。

日本情報処理開発協会（JIPDEC）の「ISMS認証基準Ver.2.0」では、データ完全性を「情報及び処理方法が、正確であること及び完全であることを保護すること」と定義しています。故意または過失にかかわらず、システムが意図した内容と異なるデータ入出力やデータ処理が行われる状況は、データ完全性が失われているとみなされます。

データ完全性を保証するためによく使われる技術として、メッセージ認証符号（MAC）があります。MACは、データの改ざんを検出し、完全性を検証するために使用されます。これにより、データが送信または保存中に改変されていないことを確認できます。

まとめ

データ完全性は、データが信頼でき、安全に利用できる状態を維持するために不可欠な概念です。関係データベースや情報セキュリティの分野において、データの正確性、妥当性、および一貫性を保証することは、システム全体の信頼性を高める上で非常に重要です。適切な制約やセキュリティ対策を講じることで、データ完全性を維持し、データの価値を最大限に引き出すことができます。

関連項目

関係データベース
参照整合性
ハッシュ関数
* ALCOA-CCEA原則

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