トゥパク・アマル革命運動

トゥパク・アマル革命運動（MRTA）とは

トゥパク・アマル革命運動（Movimiento Revolucionario Túpac Amaru: MRTA）は、1980年代から1990年代にかけてペルーで活動した極左テロ組織です。その名前は、18世紀のアンデスの反スペイン反乱指導者であるトゥパク・アマル2世に由来します。

組織の成立と活動

MRTAは1983年、革命的社会主義党（マルクス・レーニン主義）や革命的左翼運動などの左翼組織が合流して結成されました。ビクトル・ポライ・カンポス（通称「ロランド司令官」）が指導者となり、首都リマを主な拠点として武装闘争を展開しました。

1989年にポライが逮捕されますが、翌1990年に脱獄。しかし、1992年に再び逮捕され、その後も幹部が次々と逮捕されました。

日本大使公邸占拠事件

MRTAが国際的に知られるようになったのは、1996年12月に発生したペルー日本大使公邸占拠事件です。ネストル・セルパ・カルトリニをリーダーとするコマンド・エドガル・サンチェスが、日本の大使公邸を占拠し、多数の人質を取りました。この事件は日本をはじめ、世界中で大きな注目を集めました。

組織の壊滅とその後

1998年9月、政府軍がMRTAの拠点を制圧し、武器庫も押収したことで、組織は実質的に壊滅状態となりました。

歴史は浅いながらも、MRTAは高い戦術を持ち、センデロ・ルミノソと並ぶペルーの左翼武装組織の両翼と見なされていました。しかし、センデロ・ルミノソの無差別テロには反対し、そのためセンデロ・ルミノソから攻撃を受けたこともあります。

MRTAは、キューバ革命の英雄チェ・ゲバラを模範とし、富裕層を襲撃して貧困層に財産を分配するなどの義賊的なゲリラ活動を行っていると主張していました。日本大使公邸占拠事件で人質となった人々は、MRTAメンバーの対応が紳士的であったと証言しています。

2007年、服役中のビクトル・ポライは、ペルー日本大使公邸占拠事件の武力解決10周年を機に、共同通信に書簡を寄せ、武力革命路線の敗北と放棄を表明しました。

関連情報

MRTAについては、以下の文献や情報源も参照ください。

『カント・グランデからの大脱走　トゥパクアマル革命運動(MRTA)の闘い』クラリベル・アレグリア／D.J.フラコール（桜井マリアエレナ・桜井隆志訳、柘植書房新社、1997年）
ペルー内戦
真実和解委員会 (ペルー)
センデロ・ルミノソ
El Movimiento Revolucionario Túpac Amaru. Comisión de la Verdad y Reconciliación
Patterns of Global Terrorism, 2000. United States Department of State, April 2001
* MRTA (NOTE: last updated in 2005)

MRTAは、ペルーの現代史において重要な位置を占める組織であり、その活動は社会に大きな影響を与えました。

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