トゥルカナ・ボーイ

トゥルカナ・ボーイ：ホモ・エルガステルの少年化石

トゥルカナ・ボーイ、またはナリオコトメ・ボーイとして知られるこの化石は、ホモ・エルガステル（ホモ・エレクトス）に属する少年個体のものです。約150万年から160万年前に生きていたと推定され、1984年にケニアのトゥルカナ湖西岸、ナリオコトメ川の土手で、化石蒐集家のカモヤ・キメウと古人類学者のリチャード・リーキーによって発見されました。

発見の経緯と重要性

この化石の特筆すべき点は、全身の骨格がほぼ完全に揃った状態で発掘されたことです。これは、化石人骨としては非常に稀なケースであり、当時の人類の形態や成長過程を知る上で極めて貴重な資料となります。両手や右上腕など一部欠損している箇所はあるものの、全体の骨格から様々な情報を読み取ることができます。

骨格の特徴と推定される情報

トゥルカナ・ボーイの身長は約160cmと推定されています。骨の成熟度合いから、生きていた年齢は7歳から11歳の間と推測されています。脳の容積は1,000ccに満たなかったと考えられていますが、体型的には現代人と遜色ないレベルにまで進化していたことが伺えます。この事実は、ホモ・エルガステルが、その後の人類進化において重要な段階にあったことを示唆しています。

レプリカと公開状況

トゥルカナ・ボーイの重要性から、数多くのレプリカが製作されています。その一つは日本の国立科学博物館でも展示されており、一般の人々もその姿を目にすることができます。レプリカを通して、太古の人類の姿に触れ、進化の過程を学ぶことができるでしょう。

ホモ・エルガステルとは

ホモ・エルガステルは、初期のホモ属に分類される人類の一種であり、アフリカ大陸を中心に生息していました。彼らは、石器を使用し、火を操るなど、高度な技術を持っていたと考えられています。トゥルカナ・ボーイの発見は、ホモ・エルガステルの身体的な特徴や成長過程を解明する上で大きな貢献を果たしています。

まとめ

トゥルカナ・ボーイは、ホモ・エルガステルの貴重な化石資料であり、人類進化の過程を理解する上で欠かすことのできない存在です。その全身骨格から、当時の人類の生活や進化について、多くのことを学ぶことができます。この化石は、私たちがどこから来たのか、そしてどこへ向かうのかを考える上で、重要な手がかりを与えてくれるでしょう。

参考文献
河合信和『ヒトの進化七〇〇万年史』筑摩書房〈ちくま新書〉、2010年。ISBN 9784480065841。

関連項目
ホモ・エルガステル
* ホモ・エレクトス

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