トゥルゴヴィシュテ (ルーマニア)

トゥルゴヴィシュテ：ワラキア公国の古都

トゥルゴヴィシュテは、ルーマニア南部のムンテニア地方に位置するドゥンボヴィツァ県の県都です。ヤロミツァ川右岸の段丘に位置し、ドゥンボビツァ川とヤロミツァ川に挟まれた地域にあります。

歴史

この地域には新石器時代から人が居住しており、市内外で発掘された遺跡から、青銅器時代や鉄器時代の生活の痕跡が確認されています。2世紀から5世紀にかけての居住地跡も発見されており、その上には8世紀から10世紀の原ルーマニアの遺跡が重なっています。

中世には、トゥルゴヴィシュテはヨーロッパの市場として栄え、12世紀から14世紀にかけて市場が発展し、農村の居住地が形成されました。1396年には文献に初めて登場し、ワラキア公国の首都として重要な役割を担いました。ミルチャ老公の時代には、公の宮殿が建設され、現在のキンディア塔周辺の遺跡となっています。キンディア塔は、ヴラド・ツェペシュ（ドラキュラ伯爵のモデル）の時代に建設され、市の象徴となっています。

1424年には、ダン2世によって商業規則が制定され、トゥルゴヴィシュテ地域の税関特権と国内での利益獲得権が定められました。15世紀末には、ラドゥ大公によってデアル修道院の再建が始まり、ネアゴエ・バサラブ公の時代には、壁画が完成しました。

16世紀には、ミハイ勇敢公の時代にオスマン帝国に占領されましたが、ハンガリーとミハイ勇敢公のキリスト教軍によって解放されました。マテイ・バサラブは、街の要塞を強化し、古い教会を修理し、新しい教会を建設しました。しかし、コンスタンティン・ブルンコヴェアヌの時代に首都がブカレストに移された後、トゥルゴヴィシュテは徐々に衰退していきました。ワラキアがファナリオティスの公の統治下にあった時代には、古い宮殿は完全に放置され、資材として利用されました。

1821年のトゥドル・ヴラディミレスクの蜂起では、トゥルゴヴィシュテが再び統治されることになりましたが、ヴラディミレスクはフィリキ・エテリアによって処刑されました。19世紀末には、近代化が進み、経済成長を遂げました。1863年の照明の普及、乗合馬車の運行、ブカレスト間の鉄道開通、製油所の建設などがその例です。

現代では、1989年12月にニコラエ・チャウシェスクとその妻エレナ・チャウシェスクの裁判と処刑が行われた場所としても知られています。

名称

トゥルゴヴィシュテは、スラヴ語で「市場」を意味する言葉に由来します。各地に同名の地名があり、ブルガリアのトゥルゴヴィシテとは姉妹都市提携をしています。

人口

歴史的に人口は変動しており、16世紀には約6万人、1900年には約9400人、1977年には約6万1300人、2003年には約8万9000人と記録されています。

スポーツ

トゥルゴヴィシュテには、FCMトゥルゴヴィシュテとペトロルル・トゥルゴヴィシュテというサッカークラブと、MCMトゥルゴヴィシュテという女子バスケットボールチームがあります。

出身人物

トゥルゴヴィシュテ出身の著名人には、作家・詩人・政治家のイオン・ヘリアーデ＝ラドゥレスク、詩人のグリゴレ・アレクサンドレスク、歌手・女優のラウラ・ストイカ、経済学者・元ルーマニア首相のテオドール・ストロジャン、サッカー選手のコルネル・ディヌなどがいます。

姉妹都市

トゥルゴヴィシュテは、カザンラク（ブルガリア）、トゥルゴヴィシテ（ブルガリア）、トラカイ（リトアニア）、オルヴォー（フランス）、マイアミ（アメリカ合衆国）、コルベッタ（イタリア）、サンタレン（ポルトガル）、ヴェッリンゲ（スウェーデン）、カステリョン・デ・ラ・プラナ（スペイン）と姉妹都市提携をしています。

外部リンク

公式サイト（ルーマニア語）

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