トゥーロン攻囲戦

トゥーロン攻囲戦

トゥーロン攻囲戦（1793年9月18日 - 12月18日）は、フランス革命初期における重要な戦闘の一つであり、南フランスの港町トゥーロンで発生しました。この戦いは、王党派の反乱を鎮圧するべく迅速に登場した共和派の軍隊が勝利を収め、特にナポレオン・ボナパルトがその名を轟かせたことで知られています。

背景

1793年5月31日、ジロンド派議員の逮捕がきっかけとなり、フランス各地、特にリヨンやマルセイユで反乱が広がりました。トゥーロン市では穏健派がジャコバン派を追放したものの、すぐに王党派が優勢となりました。その後、ダンベール男爵ら王党派がイギリスとスペインに援助を求めると、82300人の兵力をもって連合軍が送り込まれました。10月1日には王党派の旗、「フルール・ド・リス」が掲げられ、トゥーロンの支配権がイギリス海軍に移される事態となりました。

攻囲戦開始

国民公会軍は、ジャン・フランソワ・カルトー将軍の指導のもと、9月8日にトゥーロンに到達しました。軍はその後、ラポワプ将軍の指揮するアルピーヌ海兵隊および水兵部隊と合流し、内陸からの包囲体制を整えました。この段階で、ナポレオンは砲兵部隊の後任に指名され、若き指導者としての資質を発揮することになります。

ナポレオンは港の制圧を目指し、トゥーロンの重要な高台の攻略を提案しましたが、初めは周囲の支持を得られず、攻撃は失敗します。イギリス軍はこの地域の重要性を認識し、さらに防御を固めることとなります。ただし、ナポレオンは高台での砲台の構築に成功し、連合軍の防衛線に圧力をかけ始めました。次第に、イギリス軍は内部からの攻撃に直面することになります。

連合軍の裏切りと攻撃

11月に入り、カルトーは失脚し、指導者として新たにドッペが任命されました。しかし、彼の指導力不足により攻撃は失敗し、指揮権が再びナポレオンに渡ります。デュゴミエが新たに指揮官に就任した後、ナポレオンは再度攻勢に出ることになります。彼は、防御を固めていた小ジブラルタルを奪取するための具体的な計画を練り、さらなる砲台の構築を進めます。

共和派の勝利とその後

12月には、攻撃の決定的時期が訪れ、ナポレオンの指揮のもと連合軍に対して一斉攻撃が行われます。この際、ナポレオンは負傷を負いながらも、連合軍を決定的に打ち破ることに成功しました。連合軍は港からの撤退を余儀なくされ、トゥーロンは再び共和派の手に戻ります。

その後、12月19日には市内が占拠され、続いて激しい報復が行われました。ナポレオンはこの時、負傷の治療を受けており、大虐殺の現場には立ち会いませんでした。彼は間もなく准将に昇進し、1796年にはイタリア遠征を開始する起点としてトゥーロンを利用しました。

地勢と戦略

トゥーロン港は地中海に突き出た半島に囲まれ、戦略的に重要な位置を占めています。内港は二つの半島によって形成されており、市街を見下ろすファロン山が戦闘の舞台となりました。今回の攻囲戦においては、特にレギエットとバラギエの要塞が争奪の中心とされ、この地域の戦略的価値が証明されました。

この攻囲戦は、ナポレオンの軍事的才覚を示すとともに、フランス革命期の政情を大きく変える契機となりました。トゥーロン攻囲戦は、後のナポレオン戦争やフランス国の未来に大きく影響を与えた歴史的な出来事と言えるでしょう。

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