トクマック・グエン

トクマック・チョル・グエン：難民キャンプから欧州サッカー界へ

トクマック・チョル・グエン（Tokmac Chol Nguen）は、1993年10月20日生まれのノルウェーのプロサッカー選手です。ケニアのリフトバレー州カクマの難民キャンプ出身という、異色の経歴を持ちます。現在はスウェーデンの強豪、ユールゴーデンIFでフォワードとして活躍しています。

生い立ちとクラブ経歴

グエンは、第二次スーダン内戦から逃れた南スーダン難民の両親のもと、カクマの難民キャンプで生まれました。その後、一家でノルウェーに移住し、ストレームスゴトセトのユースアカデミーでサッカーを始めます。2011年にトップチームに昇格し、8月28日のフレドリクスタ戦でプロデビューを果たしました。ベルムへのローン移籍などを経て、2016シーズンからストレームスゴトセトで先発に定着。2018年には自己最多となる7ゴールを記録しました。

2019年2月1日、ハンガリーの強豪フェレンツヴァーロシュへ移籍。加入後2年連続でネムゼティ・バイノクシャーグI（ハンガリーリーグ1部）優勝を経験しました。2020年8月26日に行われたUEFAチャンピオンズリーグ2020-21予備予選のセルティック戦では、1-1で迎えた後半25分に勝ち越しゴールを決め、チームの本大会出場に大きく貢献しました。2024年3月25日、ユールゴーデンIFに2年契約で移籍し、新たな挑戦を始めています。

代表経歴

南スーダンにルーツを持つグエンは、南スーダン代表やケニア代表での出場資格も有していましたが、2021年3月に2022 FIFAワールドカップ・ヨーロッパ予選に向けたノルウェー代表に初招集されました。25日のジブラルタル戦で代表デビューを飾り、3-0の勝利に貢献しました。

人物像

グエンは、ピッチ外でも注目を集める出来事がありました。フェレンツヴァーロシュ在籍時の2020年5月31日、プスカシュ・アカデーミア戦でゴールを決めた際、数日前に発生したジョージ・フロイド事件に端を発する人種差別反対運動に賛同し、【JUSTICE FOR GEORGE FLOYD（ジョージ・フロイドに正義を）】とプリントされたTシャツを掲げました。しかし、この行動が政治的なアピールとみなされ、ハンガリーサッカー連盟から処分を受ける可能性が指摘され、グエン自身は不満を表明しました。

UEFAチャンピオンズリーグ2020-21では、フェレンツヴァーロシュはバルセロナ、ユヴェントス、ディナモ・キエフと同組のグループGに入りました。2020年10月21日に行われたバルセロナ戦の前日記者会見に、監督のセルゲイ・レブロフとともに出席したグエンは、試合への意気込みを語りました。試合当日、グエンは前半10分にゴールを決めるも、オフサイドで取り消し。その後、リオネル・メッシにゴールを許し、チームは1-5で敗れました。

トクマック・チョル・グエンは、その類まれな才能と、ピッチ内外での行動で、多くの人々に感動と勇気を与えています。今後の活躍にも注目が集まります。

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