トットてれび

トットてれび

『トットてれび』は、2016年にNHK総合テレビで放送されたテレビドラマで、全7話から成ります。この作品は女優でありタレントである黒柳徹子の自伝的エッセイ『トットひとり』と『トットチャンネル』を原作にしており、黒柳の人生やテレビとの関わりを中心に描かれています。脚本は中園ミホが手掛け、主演に満島ひかりが選ばれました。そのクオリティの高さが評価され、第43回放送文化基金賞の最優秀賞を受賞しています。

概要

ドラマは二部構成となっており、前半の第1話から第4話は「青春編」として黒柳が1953年にNHKの専属女優第1号に選ばれるところから物語が始まります。1960年代のテレビの草創期を舞台に、『夢であいましょう』や『若い季節』などの番組とともに成長し、自由で創造的な作品が生まれる背景を描き出します。特にニューヨークでの留学や、彼女の象徴である「玉ねぎヘアー」の誕生エピソードは、視聴者に強い印象を残しました。

後半の第5話から第7話は「友情編」として、黒柳が数多くの有名人と築いた絆を語ります。森繁久彌や渥美清、向田邦子との関係性が深く描かれ、故人との思い出やコミュニケーションを通じて彼女の人生がさらに色彩豊かに紡がれていきます。このシリーズは、各話のエンディングで当時のヒット曲を現代風にアレンジしたミュージカル形式で表現する点もユニークで、視聴者を楽しませました。

制作と配役

本作の企画・制作には多くの工夫が凝らされています。脚本を担当した中園ミホは、自らを「筋金入りの黒柳徹子ファン」としており、「世の中なんだか、徹子さんが足りない」といったキャッチフレーズを掲げて新しい視点で黒柳の半生を描きました。主演の満島ひかりは、黒柳に対するリスペクトをもって演技に臨み、実際に彼女と食事を共にしながらアドバイスを受けることで、キャラクターを深く理解していったと言われています。

ドラマでの映像やセットには、当時の放送資料や写真を元にしたレプリカが使用され、リアルなテレビの世界を再現するために様々なインタビューや文献調査が行われました。音楽には、大友良英を始めとする才能あるアーティストが起用され、劇中の生演奏での音楽シーンが多く設けられ、視覚や聴覚での楽しみを提供しています。

あらすじ

物語は、好奇心旺盛で1940年に7歳で小学校を退学となった黒柳徹子が、20歳の際に人形劇を観たことをきっかけに、NHKの専属女優になるまでを描きます。この純粋な願いから彼女は6000人以上の競争者の中から選ばれ、テレビ女優1号としてデビューを果たします。新人時代は多くの苦難が待ち受けていましたが、オーディションを経て役を得て、やがて「NHKの三人娘」としてメディアでの存在感を増していきます。

番組の急速な普及とともに彼女は多忙を極めますが、その中でテレビの草創期ならではの失敗やトラブルも経験。特に、生放送の特性により、出演者の混乱を解決しつつ前線で戦う姿が印象的です。テレビ女優として長い道のりを共にした彼女はいち早く新しいことには挑戦し、朝日新聞でのフィーチャー記事や長寿番組『徹子の部屋』を通じて、彼女の影響力はさらに拡大していきます。

徹子が大好きだった向田邦子とのエピソードも見逃せません。向田のコメディ作品に携わり、人々の心をつかむ共演を繰り返すうちに、彼女は自らのアートへと結びついていきます。友情がどのように彼女の人生を形作ってきたのか、心温まる物語が繰り広げられます。

このように『トットてれび』は、黒柳徹子の半生を反映した作品であり、彼女の人間味溢れるストーリーや多くの人との交流を通じて、背筋が伸びるような感動を与えてくれます。

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