トップ・ハット

トップ・ハット

『トップ・ハット』は、1935年制作のアメリカのミュージカル映画です。この作品は、フレッド・アステアとジンジャー・ロジャースの共演によるもので、彼らの4作目となります。前作『コンチネンタル』の成功を受けて、同じスタイルのラブコメディとして制作されました。音楽はアーヴィング・バーリンが手掛け、RKOスタジオが製作した本作は、後に2011年にイギリスで舞台化されるなど、長年にわたり愛され続けています。

ストーリー概要

物語は、ブロードウェイのダンサーであるジェリーがロンドンで公演中に始まります。彼は同じホテルに宿泊しているモデルのデイルに一目惚れします。二人は心を通わせるものの、デイルはジェリーを友人の夫だと誤解し、逃げるようにベニスへ向かいます。デイルは当てつけにデザイナーのアルベルトと結婚しようとしますが、焦ったジェリーは後を追い、デイルの誤解を解くことに奮闘します。そして、アルベルトとの結婚が偽の牧師によって無効となり、二人は無事にハッピーエンドを迎えます。

主なキャスト

主演はフレッド・アステアがジェリー・トラヴァース役、ジンジャー・ロジャースがデイル・トレモント役を務めました。その他のキャストには、ホレース・ハードウィック役のエドワード・エヴェレット・ホートン、アルベルト役のエリック・ローズや、マッジ役のヘレン・ブロデリックが名を連ねています。日本では、フレッド・アステアの声を村越伊知郎が、ジンジャー・ロジャースの声を翠準子が吹き替えました。

制作背景

本作の製作は、アステアとロジャースのコンビが「マネー・メイキング・スター」としての地位を築いた後に行われました。製作のパンドロ・S・バーマンは、アーヴィング・バーリンに歌曲を依頼し、スタジオのスタッフやキャストを再集結させました。バーリンの作曲した楽曲は、「Isn't This a Lovely Day?」や「Cheek to Cheek」など、多くのスタンダードナンバーが含まれており、特に「頬よせて」のシーンは今でも有名です。

アステアは、ダンスのために5週間ものリハーサルを要望し、その成果を映像でも見せています。衣装に関しては、アステアがロジャースの豪華なドレスに不満を持ったエピソードがあり、リハーサル中に羽が抜け落ちて大騒ぎになるなど、撮影の裏話も多くあります。この映画は、製作過程の中でアステア自身が脚本に対して要望を伝え、作品の質を高める努力があったことも特筆すべき点です。

評価と影響

『トップ・ハット』は公開後、大きな成功を収めました。その興行収入は300万ドルを超え、アカデミー賞では作品、美術、振付、主題歌の4部門にノミネートされました。また、1990年にはアメリカ国立フィルム登録簿に登録され、「文化的、歴史的、及び審美的に重要な映画」として評価されています。

舞台化

映画の舞台化作品は、2011年にイギリスで初演され、2012年にはウエスト・エンドでも上演されました。音楽は映画版からの楽曲に加え、バーリンの他のヒット曲も用いられ、新作ミュージカル賞や振付賞を受賞しました。

日本での公演

日本においても、『トップ・ハット』の公演は行われており、2015年と2022年には宝塚歌劇団による上演がありました。これらの公演は、フレッド・アステアとジンジャー・ロジャースの名作を日本の舞台で再現し、観客に楽しんでもらっています。特に、初演時の主演は朝夏まなとであり、大きな話題を呼びました。

『トップ・ハット』は、長きにわたり多くの人々に愛され続ける名作として、、その歴史と影響は今だに続いています。

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