トトメス4世

トトメス4世の歴史

トトメス4世（Thutmose IV）は紀元前1401年から紀元前1391年、あるいは紀元前1397年から紀元前1388年にかけて古代エジプト第18王朝のファラオとして在位しました。彼の即位名「メンケペルウラー」は、永遠なるラー神の存在を示すものです。一般的に彼の名前は「トト神の生み出したもの」と解釈されています。

夢の碑文のエピソード

トトメス4世は王子の頃、夢の中でホル・エム・アケトから神託を受け取ります。その内容は、砂に埋もれたスフィンクスを掘り出すことで王位を得るというものでした。この夢が彼をファラオの地位に導いたとされるエピソードは広く知られています。この神託をスフィンクスの修復に結びつける解釈があり、その背景にはヘリオポリスにおける太陽神崇拝がある証拠が指摘されています。

トトメス4世は即位以降、アメン神官団の権力を抑え込み、自身の信頼する者たちを要職に任命しました。このような政策は、後の息子アメンホテプ3世の治世においても顕著に見られるようになります。特に、首都をテーベからマルカタへ遷都したことは大きな変革の一つとして知られています。また、彼の墓には様々な神々と交信する様子が描かれ、アメン神官団との対立も伺わせます。

治世の年数と埋葬

トトメス4世の在位年数については、はっきりとした記録が残されていません。古代の歴史家マネトーは彼の治世が9年8ヶ月であったと記述しており、発掘された記念碑の中で確認できる最も遅い日付が治世8年目のものであることから、多くの研究者は約10年程度と考えています。一部の研究では治世は35年とされることもありましたが、現在では否定されています。

トトメス4世のミイラはKV43に埋葬されましたが、後に父アメンヘテプ2世の墓であるKV35に移されています。ミイラの調査によれば、彼は25歳から28歳の間で亡くなったとされています。古代エジプトのファラオたちの多くが若くして死去している中、トトメス4世も例外ではありません。

また2012年の研究では、側頭葉てんかんが彼らの寿命を縮める要因の一つとなった可能性が示唆されており、トトメス4世の夢の啓示も幻覚作用であったかもしれないという見解が提案されています。

逸話と影響

トトメス4世が夢の中で受けた「スフィンクスを掘り出す」との神託は、彼の人生と治世に対する重要な影響をもたらしました。彼の治世は短命ではありましたが、その記録は後の世代に多大な影響を与えたことで知られています。彼以外にも、ツタンカーメンやアクエンアテンといった第18王朝のファラオたちが若くしてこの世を去ったことが記録されており、歴史的な背景には神秘的な要素が多く関与していることが浮かび上がります。

関連項目

• - エジプト第18王朝の家系図

トトメス4世の治世とその背後に秘められた謎については、研究が進むなかで新しい発見が期待されています。

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