トニー・ロペス

トニー・ロペス

トニー・ロペス（Tony Lopez, 1963年2月24日 - ）は、アメリカ合衆国カリフォルニア州サクラメント出身の元プロボクサーである。国際ボクシング連盟（IBF）世界スーパーフェザー級王者、世界ボクシング協会（WBA）世界ライト級王者となり、世界王座の2階級制覇を達成した。粘り強い戦いぶりと、一度失った王座を奪還するなどの劇的なキャリアで知られる。

来歴

1983年5月3日、プロとしてリングに上がったロペスは、初回TKO勝利という鮮烈なデビューを飾った。順調に白星を重ね、デビューからしばらくは無敗街道を突き進んだが、1987年9月1日に行われたラモン・リコ戦で、7回での失格という珍しい形でキャリア初の敗北を喫した。

彼のボクシング人生における最初の頂点は、1988年7月23日に訪れた。故郷サクラメントのアルコ・アリーナで、IBF世界スーパーフェザー級王者ロッキー・ロックリッジに初挑戦したロペスは、8回にダウンを奪われながらも驚異的な回復力とタフネスを見せ、最終的に12回3-0の判定で勝利。キャリア初のチャンスを見事に掴み、世界王座を獲得した。この一戦は壮絶な打ち合いとなり、1988年度のリングマガジン ファイト・オブ・ザ・イヤーに選出されるほどの激闘であった。

王座獲得後、ロペスは強豪を相手に防衛戦を重ねた。1988年10月27日には、後に何度も拳を交えることになるジョン・ジョン・モリナを12回判定で退け、初防衛に成功。1989年3月5日に行われたロックリッジとの再戦でも再び12回判定勝ちを収め、2度目の防衛を果たした。同年6月18日にはタイロン・ジャクソンを8回TKOで撃破し、3度目の防衛に成功した。

しかし、1989年10月7日、アルコ・アリーナでのジョン・ジョン・モリナとの再戦で、ロペスは苦杯をなめる。この試合でキャリア初のKO負けとなる10回TKOで敗れ、王座から陥落した。

王座を失ったものの、ロペスは諦めなかった。1990年5月20日、モリナとの3度目の対戦が実現。この雪辱戦を12回2-1の僅差の判定で制し、わずか7ヶ月という短期間でIBF世界スーパーフェザー級王座への返り咲きを果たした。この見事なカムバックは、1990年度のリングマガジン カムバック・オブ・ザ・イヤーに輝いている。

返り咲き王者として、1990年9月22日には元フェザー級王者のホルヘ・パエスを判定で破り、パエスの2階級制覇を阻止して防衛に成功。1991年3月15日には、当時のWBA世界スーパーフェザー級王者ブライアン・ミッチェルとの王座統一戦に臨んだが、12回三者三様の引き分けに終わり、WBA王座獲得はならなかったが、IBF王座は防衛した。同年7月12日のルーペ・グティエレス戦では6回TKO勝利で防衛を重ねたが、1991年9月13日にミッチェルとの再戦に臨み、12回判定負けを喫し、IBF王座から最終的に陥落した。

スーパーフェザー級での激闘を終えたロペスは階級を上げ、ライト級での世界王座を目指した。1992年10月24日、無敗のWBA世界ライト級王者ジョーイ・ガマチェに挑戦。試合は11回まで続いたが、ここでロペスが逆転のTKO勝利を収め、見事に2階級制覇を達成した。

WBAライト級王者として、1993年2月12日にはディンガン・トベラを判定で退け、初防衛に成功。しかし、同年6月26日、南アフリカで行われたトベラとの再戦では、12回判定で敗れ、王座を失った。

世界王座陥落後もロペスの戦いは続いた。1994年12月10日には、ボクシング界の巨星フリオ・セサール・チャベスの持つWBC世界スーパーライト級王座に挑戦し、3階級制覇を狙ったが、10回TKO負けを喫し目標達成はならなかった。その後もUSBAやNABFの地域タイトルに挑戦したが、世界王座返り咲きは果たせなかった。1998年9月26日にはNABO北米スーパーライト級王座を獲得したが、1999年2月20日の防衛戦でヘクター・クイローズに初回TKO負けを喫し王座から陥落。この試合を最後に、約16年にわたるプロボクサー生活にピリオドを打ち、現役を引退した。

獲得タイトル

IBF世界スーパーフェザー級王座（第1期: 防衛3、第2期: 防衛3、合計防衛6）
WBA世界ライト級王座（防衛1）
NABO北米スーパーライト級王座

表彰

1988年度リングマガジン ファイト・オブ・ザ・イヤー（ロッキー・ロックリッジ第1戦）
1990年度リングマガジン カムバック・オブ・ザ・イヤー

関連項目

男子ボクサー一覧
国際ボクシング連盟(IBF)世界王者一覧
世界ボクシング協会(WBA)世界王者一覧

外部リンク

* トニー・ロペスの戦績 - BoxRec（英語）

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