トノサマバッタ

トノサマバッタ（殿様飛蝗）

概要

トノサマバッタ（学名：Locusta migratoria）は、バッタ目バッタ科に属する大型の昆虫です。一般的にダイミョウバッタと呼ばれることもあり、日本国内に広く分布しています。特に、長崎県対馬の個体群は重要な存在としてレッドリストに登録されています。

分布

トノサマバッタは主に旧北区、特にユーラシア大陸北部やアフリカ、日本全土に自生しています。日本では、主に草原や緑地に生息し、対馬の個体群はその特異性から注目されています。

形態

このバッタの特徴は、体長が35〜65mmにも達する点です。オスよりもメスの方が大きく、前翅には茶色と白色が混ざった独特の模様があります。それに対して後翅には模様がなく、個体によって緑色と褐色の2つの色型が存在します。密度が高い環境で成長したものを群生相、逆に低い環境で育ったものを孤独相と呼び、二つの形態には行動や能力の違いがあります。一般的に目にするのは孤独相です。

生態

トノサマバッタは、平地から低山地の日当たりの良い場所に生息し、イネ科の植物を主食としています。近年、日本では草原が減少しているため、彼らの生息地は河川敷などに限られるようになっています。また、他の昆虫の死骸や同種の弱った個体を食べる習性も持ち、時には共食いを行うこともあります。

繁殖行動

オスは後脚と翅を擦り合わせて音を出し、これを求愛行動として使用します。メスは土中に卵を産み付け、年に2回の産卵を行います。春に孵化する卵は約1ヶ月後に孵化し、秋に産まれた卵は翌年の春まで越冬します。

防御行動

警戒心が強いトノサマバッタは、捕食者に近づかれると、地面を跳ねながら飛ぶことで身を守ります。オスはメスより体が軽く、飛翔能力が高いことから、迅速に逃げることが可能です。彼らの天敵には様々な肉食性の昆虫や哺乳類、爬虫類、鳥類が含まれます。

群生相と蝗害

特にアフリカや中央アジアでは、群生相が発生することがあります。これは、数万匹といった大規模な移動を伴い、作物に対し甚大な被害を引き起こすことがあります。日本でも沖縄県などで群生相が確認され、農業への影響が問題視されました。

特徴の変化

群生相においては、食性が多様化し攻撃性が増す傾向が見られます。飛行能力が高まり、外見的にも黒っぽくなることが一般的です。また、一度に産む卵の数が減少することも観察されています。

バッタ釣りの方法

特異な捕獲法として、バッタ釣りが知られています。これは、オスがメスに対して交尾行動を示す際に、誤って黒い棒に飛び乗ることを利用し捕獲する方法です。これはオス限定の捕獲法であり、メスには効果がありません。

まとめ

トノサマバッタはその生態や行動様式に多くの興味深い側面を持った昆虫です。特に環境変化や人間活動が影響をおよぼす中で、彼らの生息地や生活形態が変わっていくことは、自然の中での生存競争を物語っています。

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