トビニタイ文化

トビニタイ文化の概要

トビニタイ文化（トビニタイぶんか）は、9世紀から13世紀にかけて北海道の道東地域及び国後島付近に存在した文化様式です。この文化の名称は、1960年に東京大学の調査隊によって北海道の羅臼町飛仁帯（とびにたい）で発見された出土品に由来しています。この「飛仁帯」の名前は、アイヌ語の「トペニタィ（tope-ni-tay）に由来し、意味は「イタヤカエデの集まる森」とされています。

トビニタイ文化の起源

直接の起源はオホーツク文化にあり、これに属する人々は、北海道に早くから居住し、特に7世紀から8世紀にかけて道北および道東地域に広がっていました。その後、9世紀に入ると、擦文文化に属する集団が道北に進出し、オホーツク文化の中心地であった樺太から道東地域が分断され、オホーツク文化の様相は変化せざるを得なくなりました。この時期に、オホーツク文化は擦文文化の影響を受けて、独自の文化様式へと移行していくのです。このように形成された文化が現在、トビニタイ文化と呼ばれています。

トビニタイ文化はその後、擦文文化との同化が進み、13世紀の初め頃にはその存在を消すことになります。

熊の崇拝

この文化に対する興味深い点の一つは、熊の祭祀に関する証拠が存在することです。斜里町のウトロ地区にあるチャシコツ岬下B遺跡では、2005年にヒグマの骨が発見されました。これが祭祀に使用されたものだと考えられています。この現象は、擦文文化には見られない一方で、オホーツク文化には存在していた熊の崇拝がトビニタイ文化を経由してアイヌ文化にもたらされた可能性を示唆しています。ただし、熊崇拝に関する文献上の情報は、特に『津軽一統志』の記述などから、アイヌが熊崇拝を直接トビニタイ文化から受け取ったのではなく、むしろアイヌの樺太進出後、長い時間をかけて受け入れたのではないかとする見解も存在します。

文献及び参考資料

トビニタイ文化に関する様々な知見は、次のような著作から得られています。

• - 瀬川拓郎著『アイヌの歴史』（講談社、2007年）
• - 入間田宣夫編『北の内海世界』（山川出版社、1999年）

これらの研究を通じて、トビニタイ文化の成り立ちや特徴を理解することができます。

関連項目

• - オホーツク文化
• - アイヌ文化

この文化の理解と認識は、当時の人々の生活様式や宗教観を知る上で非常に重要です。さらに、これらの文化が現在どのように影響を及ぼしているかを探ることは、地域の文化的な継承と発展のためにも欠かせない作業となるでしょう。

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