トマス・リズリー (第4代サウサンプトン伯)

第4代サウサンプトン伯トマス・リズリーの生涯

トマス・リズリー（Thomas Wriothesley, 4th Earl of Southampton）は、1607年3月10日にシュロップシャーのホッドネットで生まれ、1667年5月16日に亡くなったイングランドの貴族であり政治家です。彼は第3代サウサンプトン伯ヘンリー・リズリーとその妻エリザベス・ヴァーノンの次男として生を受け、王政復古期において重要な役割を果たしました。特に、彼は1660年から1667年まで大蔵卿を務め、財政政策に大きな影響を与えました。

彼の人生の初期は、1624年に父が亡くなると共に爵位を引き継ぐことから始まります。その後、ケンブリッジ大学セント・ジョンズ・カレッジでの学びを経て、1642年に勃発した第一次イングランド内戦に関与することとなります。内戦においてリズリーは穏健な王党派に属し、国王チャールズ1世との交渉を図る際、重要な仲介役を果たしました。特に1644年には、国王のメッセージを議会に伝える役目を担いましたが、その結果は成功しませんでした。

さらに、1645年1月にはアクスブリッジでの和睦交渉に参加し、国王と議会派との合意形成に尽力しましたが、結局は合意に至らず、彼は罰金6000ポンドを支払い、議会派との関係を維持する道を選びました。この内戦の時期、リズリーは激動の政治情勢の中で存続を図り続けることとなります。

1660年に王政復古が成し遂げられると、リズリーは再び権力の中心に戻り、大蔵卿としての役割を担います。彼は王の信任のもと、財務省と大蔵省の分離を進め、財政政策の改革に取り組みました。しかし、ダンケルクの売却に関する行動は世論から激しい批判を浴び、1665年には第二次英蘭戦争が勃発し、イングランドの財政は深刻な打撃を受けました。これにより彼の影響力は次第に衰退し、1670年には66歳で死去しました。

彼が亡くなった年にはクラレンドン伯も失脚し、後に5人の寵臣集団（cabal）が台頭することになりますが、リズリーが推進した大蔵省の改革はその後も継続しました。特に、サウサンプトン伯の死後、5人のメンバーによる大蔵委員会が設立され、ジョージ・ダウニングが財政の権限強化に取り組みました。

リズリーの家庭に関しては、彼は三度の結婚を経験し、最初の妻でフランスの亡命ユグノーのレイチェルとの間に二人の娘をもうけています。次女のレイチェルは、ロンドン・ブルームスベリーのサウサンプトン・ハウスを相続し、夫のウィリアム・ラッセル卿と共にホイッグ党の集会所として使用されました。彼女は家名を子供に引き継ぎ、さらにベッドフォード公爵家との関係を築くことに貢献しました。

リズリーの死後、爵位は息子が無かったため断絶しましたが、娘たちを通じて新たな家系が形成され、ラッセル家はイングランドの資産家として名を馳せることとなります。サウサンプトン伯の影響力は、彼の死後も彼の遺産を通じて広がっていくことになります。彼の人生は、イングランドの歴史の中で重要な転機を迎えた時代における貴族の役割を示すものです。

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