トマス派

トマス派：インドの古代キリスト教

トマス派は、インド南部に存在するキリスト教の一派であり、東方教会の流れを汲む教会です。その起源は、十二使徒の一人である聖トマスが東方へ宣教し、インドで殉教したという伝説に遡ります。

起源と伝承

伝説によれば、聖トマスは紀元1世紀にインドに渡り、キリスト教の教えを広めました。しかし、実際の起源は、5世紀頃にイランから伝わったネストリウス派の影響が強いと考えられています。スリランカでも、植民地化以前からトマス派の信徒が存在していたとされています。

ポルトガル到来後の分裂

16世紀にポルトガル人がインドに到達すると、トマス派の信徒はカトリックを受け入れるグループと、受け入れないグループに分かれました。カトリックを受け入れたグループは、東方典礼カトリック教会を形成しました。一方、カトリックを受け入れなかったグループの多くは、シリアから伝わったヤコブ派の影響を受け、インド正教会を設立しました。また、ごく一部はネストリウス派に留まり、アッシリア東方教会と合一しました。

トマス派の流れを汲む教会

トマス派の信仰を受け継ぐ教会は、その歴史的経緯から、いくつかの異なる宗派に分かれています。

ネストリウス派

カルデア・シリア教会：東シリア典礼（カルデア典礼）を採用。現在はアッシリア東方教会の一部です。

非カルケドン派正教会（シリア正教会系列）

マランカラ・シリア正教会：西シリア典礼（アンティオキア典礼）を採用。インド正教会とも呼ばれます。
ヤコブ派シリア・キリスト教会：西シリア典礼を採用。シリア正教会の傘下の自治教会です。

東方典礼カトリック教会

シリア＝マラバル典礼カトリック教会：東シリア典礼を採用。
シリア＝マランカラ典礼カトリック教会：西シリア典礼を採用。

東方プロテスタント教会

マランカラ・マール・トマ・シリア教会：西シリア典礼を採用。聖公会とフル・コミュニオンの関係にあります。
インド聖トマス福音教会：西シリア典礼を採用。オリエンタル福音教会に属する独立教会です。

独立教会

マラバル独立シリア教会：西シリア典礼を採用。

関連事項

アッシリア人
シリア語
* クーナンクロスの誓い

トマス派は、インドにおけるキリスト教の初期の歴史を伝える貴重な存在です。その多様な宗派は、外部からの影響と独自の発展が複雑に絡み合った歴史を物語っています。

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