トミヨ

トミヨ：冷水を好むトゲウオの仲間

トミヨ（富魚、止水魚）は、トゲウオ科に属する魚であり、その成り立ち自体が多様で、北半球の寒冷地域に主に分布しています。世界には約10種類が知られており、日本でもいくつかの種が見られます。通常、トミヨは淡水や汽水域に住んでいますが、特に15度前後のきれいな冷水を好みます。日本では北海道の東部以外では、低水温の清流や湧水池に生息しています。そのため、水質の変化や渇水などに影響されやすく、絶滅の危機に瀕している種も多い状況です。美しい自然の一部として、様々な保護活動が行われています。

特徴

トミヨの全長は約5センチメートルと小型です。背びれの前半部分には、ヒレではなく棘が連なる独特の姿を持ち、種によっては棘の本数が7～10本です。また、体側には一列に鱗板が並んでいることも特徴的です。

産卵期は4月から6月で、オスは水草を集めて約数センチの巣を作り、その中にメスを誘います。メスがここで産卵すると、オスが精子を放出して受精させた後、食事をとらずに卵を守り、新鮮な水を巣に送るなど、子育てに専念します。こうした育児行動が影響し、オスはメスに比べて短命であると考えられています。

日本における主な種類

日本にはいくつかのトミヨ属の魚が存在します。かつてはエゾトミヨ、イバラトミヨ、トミヨ、ムサシトミヨ、ミナミトミヨといった分類がありましたが、遺伝学的な研究により、より細分化されたグループに整理されています。エゾトミヨは北海道や樺太に生息し、体長は約7センチ。水草の多い小川に好んで生息しており、環境省のレッドリストでは絶滅危惧II類に分類されています。

トミヨ属汽水型は北海道東部の河川下流域に生息し、体長は5～6センチ。2020年のレッドリストでは準絶滅危惧に指定されており、広範囲に分布しています。

トミヨ属淡水型は日本と極東ロシアに広く分布し、特に福井県以北の日本海側や岩手県以北の本州に生息しています。ここでも環境省により危惧されている地域があります。トミヨ属雄物型は秋田県や山形県で見られ、2020年には絶滅危惧IA類に指定されています。ワシントン条約にも関わる種類が多く、保全が求められています。

最後に、ミナミトミヨは1960年代に絶滅したとされている日本固有種で、体長は約4センチです。このように、日本のトミヨ属の魚たちはそれぞれ異なる生息環境や形態を持ちながら、急速な環境変化に適応するために脆弱性を抱えています。

保護活動

日本国内では、トミヨの保護に向けた様々な取り組みが進められています。例えば、埼玉県ではムサシトミヨに特化した保護センターが設置され、定期的にモニタリングが行われています。また、泳ぐ姿を観察するための水族館でも保護活動に関する展示がされ、地域住民への啓発活動も行われています。トミヨの生息地を守るために、地域の参加が必要不可欠です。

トミヨは、自然環境の象徴として私たちの周りに存在しています。その可愛らしい姿を一度見てみることをお勧めします。その保護と持続可能な共存のための活動が、未来の自然を守る大切な手段となるでしょう。

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