トミー (オリジナル・サウンドトラック)

『トミー (オリジナル・サウンドトラック)』は、1975年に発表された、ケン・ラッセル監督によるイギリス映画『トミー』のサウンドトラックアルバムです。このアルバムは、ザ・フーが1969年に発表したロック・オペラ『トミー』を原作としています。

制作の背景

サウンドトラックの制作は、まずインストゥルメンタル録音から始まりました。ザ・フーのメンバーであるピート・タウンゼント（ギター、キーボード、ARPシンセサイザー）、ジョン・エントウィッスル（ベース・ギター、金管楽器）、キース・ムーン（ドラムス）の3人は、1974年1月にロンドンのラムポート・スタジオで作業を開始しましたが、キース・ムーンの体調不良などにより、多くのミュージシャンの助けを借りることになりました。

2月には、ザ・フーのリード・ヴォーカリストであり、映画で主役トミーを演じたロジャー・ダルトリーや、アン・マーグレットなどの俳優陣が参加し、撮影用の音声録音を開始。エントウィッスルの金管楽器の多重録音や、コーラス録音も行われました。

3月には俳優陣の録音が本格化し、歌唱が専門外だったオリヴァー・リードやジャック・ニコルソンも練習の成果を発揮して無事録音を終えました。また、コーラス陣としてアリソン・ダウリング（幼少期のトミー）、ヴィッキー・ブラウンとマーゴ・ニューマン（看護婦）、サイモン・タウンゼンド（新聞の売り子）が参加しています。

ピンボール・チャンピオン役のエルトン・ジョンは、出演の条件として、自身のプロデューサーであるガス・ダッジョンと自身のバンドが録音に参加することを求めました。その結果、「ピンボールの魔術師」は、他の曲とは独立して、4月中旬にダッジョンのプロデュースによって録音されました。

内容について

映画の音楽監督を務めたピート・タウンゼントは、内容をより明確にし、映画向けにするため、原作の楽曲の大部分に歌詞を追加しました。また、「シャンペン」、「母と息子」、「テレビ・スタジオ」といった新曲を書き下ろしたほか、原作の「トミーのホリデイ・キャンプ」と「奇蹟の治療」を流用し、それぞれに新しい歌詞をつけて新曲「バーニーのホリデイ・キャンプ」と「号外、号外、号外」を制作しました。さらに、原作の「大丈夫かい」を「大丈夫かいI」、「大丈夫かいII」、「大丈夫かいIII」に増やしています。

参加ミュージシャン

このアルバムには、ザ・フーのメンバーに加え、エルトン・ジョン、エリック・クラプトン、ロニー・ウッド、ニッキー・ホプキンスなど、数多くの著名なミュージシャンが参加しています。彼らの演奏が、映画の壮大なスケールとドラマチックな展開をより一層引き立てています。

Pete Townshend – ギター、キーボード、ARPシンセサイザー
John Entwistle – ベース・ギター、金管楽器
Keith Moon – ドラムス
Elton John
Eric Clapton
Ronnie Wood
Kenny Jones
Nicky Hopkins


『トミー (オリジナル・サウンドトラック)』は、ザ・フーのロック・オペラを映画化した作品のサウンドトラックとしてだけでなく、豪華なミュージシャンたちが集結した音楽作品としても高く評価されています。映画の世界観をより深く理解するための必聴盤と言えるでしょう。

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