トミー (ロンドン交響楽団のアルバム)

Tommy as performed by London Symphony Orchestra and English Chamber Choir with Guest Soloists

ザ・フーが1969年に発表した画期的なアルバム『トミー』を、ロンドン交響楽団とイギリス室内合唱団が壮大なオーケストラアレンジで再構築した作品。1972年に発表され、ロックとクラシック音楽の融合という新たな試みで大きな話題を呼んだ。

制作の背景

『トミー』は、父親殺害を目撃した少年が三重苦となり、内なる世界に閉じこもるという物語を描いたコンセプトアルバム。ピート・タウンゼントがインドの導師メヘル・バーバーの教えに影響を受け、作詞作曲を手掛けた。ロック・オペラという形式を確立し、ザ・フーの代表作の一つとして知られている。

1971年、レコード・プロデューサーのルー・ライズナーが、タウンゼントに『トミー』の管弦楽団版制作を提案。1972年4月、ロンドンのオリンピック・スタジオで録音が開始された。デヴィッド・ミーシャムがロンドン交響楽団を指揮し、ウィル・マローンがオーケストラアレンジを担当した。

豪華ゲスト陣の参加

ザ・フーのメンバーからは、ロジャー・ダルトリー（トミー役）、ジョン・エントウィッスル（従兄弟のケヴィン役）が参加。さらに、リンゴ・スター、ロッド・スチュワート、スティーヴ・ウィンウッド、リチャード・ハリスなど、豪華なロックミュージシャンや俳優が独唱者として参加し、作品に華を添えた。

アルバムの内容

アルバムは、『トミー』の物語を忠実に再現しつつ、オーケストラの壮大な演奏と独唱者の個性的な歌声によって、新たな魅力を引き出している。原作の楽曲の順序が一部変更され、新たな曲も追加されている。

収録曲

(収録曲リスト)

コンサートの開催

アルバム発表後、1972年12月9日にロンドンのレインボウ・シアターでチャリティー・コンサートが開催された。ロンドン交響楽団、イギリス室内合唱団、独唱者が集結し、アルバムが完全再現された。その後も、1973年にオーストラリアで、同年12月には再びロンドンのレインボウ・シアターでコンサートが開催され、多くの観客を魅了した。

アルバムの評価

『Tommy as performed by London Symphony Orchestra and English Chamber Choir with Guest Soloists』は、発売から1週間でアメリカで40万枚を売り上げ、全世界で100万枚以上を売り上げる大ヒットを記録した。ロックとクラシックの融合という斬新な試みは高く評価され、1974年のグラミー賞では、最優秀レコーディング・パッケージ賞を受賞した。

まとめ

ザ・フーの『トミー』をオーケストラアレンジで再構築した本作は、ロック史に残る画期的な作品として、今もなお多くの音楽ファンに愛され続けている。豪華ゲスト陣の参加、壮大なオーケストラの演奏、そして原作の物語を忠実に再現した構成は、聴く者を感動と興奮の渦に巻き込むだろう。

関連項目

トミー (アルバム)
ロック・オペラ

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