トム・フーパー

トム・フーパー：英国が生んだ鬼才映画監督

1972年、ロンドンに生まれたトム・フーパーは、イギリスを代表する映画監督のひとりです。メディア関連ビジネスマンの父とオーストラリア人作家の母を持つ彼は、幼少期から演劇に親しみ、ハイゲート・スクール時代には演劇教師の影響を受け、映画監督を志すようになりました。

オックスフォード大学卒業後、1992年には15分の短編映画『Painted Faces』でプロの演出家としてキャリアをスタートさせます。その後はイギリスのテレビドラマ界で活躍し、数々の作品を手掛けました。2005年には『エリザベス1世～愛と陰謀の王宮～』でプライムタイム・エミー賞監督賞を受賞、高い評価を獲得します。

映画監督としては、2004年の『ヒラリー・スワンク IN レッド・ダスト』でデビュー。そして2010年、歴史的傑作『英国王のスピーチ』で世界的な名声を得ます。この作品はアカデミー作品賞を始めとする4部門を受賞し、フーパー自身もアカデミー監督賞を受賞するという快挙を成し遂げました。

続く2012年には、ヒュー・ジャックマン主演のミュージカル映画『レ・ミゼラブル』を監督。本作でもアカデミー賞3部門を受賞し、その才能を世界的に確固たるものにしました。その後も、『リリーのすべて』など、高い評価を受ける作品を次々と発表し続けています。2019年には『キャッツ』で脚本と製作も兼任するなど、その活動は多岐に渡ります。

フーパー作品の特徴として、独特の映像表現が挙げられます。登場人物を画面の中央ではなく端に配置したり、手持ち撮影やダッチアングルを多用したり、ゆがんだ広角レンズを使用したりと、従来の映画撮影とは異なる手法を用いることで、独特の雰囲気を醸し出しています。

また、彼のキャリアにおいては、撮影監督との協働も重要な要素です。テレビ演出家時代にはラリー・スミスが、映画監督デビュー後はダニー・コーエンが主に撮影を担当し、フーパーの独特な映像世界を形作ってきました。

フーパー監督の代表的な作品を以下に示します。

主な監督作品

テレビドラマ

イーストエンダーズ (1998-2000)
第一容疑者 姿なき犯人 (2003)
エリザベス1世～愛と陰謀の王宮～ (2005)
ジョン・アダムズ (2008)

映画

ヒラリー・スワンク IN レッド・ダスト (2004)
くたばれ!ユナイテッド -サッカー万歳!- (2009)
英国王のスピーチ (2010)
レ・ミゼラブル (2012)
リリーのすべて (2015) ※製作も兼任
キャッツ (2019) ※脚本・製作も兼任

さらに、初期にはソニック・ザ・ヘッジホッグ3のテレビCMの演出も手掛けています。

トム・フーパーは、伝統的な映画表現にとらわれず、常に新しい表現方法に挑戦し続ける、現代を代表する映画監督のひとりと言えるでしょう。彼の今後の作品にも期待が高まります。

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