くたばれ!ユナイテッド -サッカー万歳!-

『くたばれ!ユナイテッド -サッカー万歳!-』：名将の栄光と挫折の物語

2009年公開のイギリス映画『くたばれ!ユナイテッド -サッカー万歳!-』（原題：The Damned United）は、サッカー界に名を刻んだ名将ブライアン・クラフの激動の人生を描いた作品です。デイヴィッド・ピースの小説『The Damned Utd』を原作とし、トム・フーパー監督、マイケル・シーン主演という豪華な布陣で贈る、感動と興奮に満ちた物語となっています。

低迷チームからの奇跡的躍進と、栄光からの転落

物語は、イングランド2部リーグのダービー・カウンティで監督を務めるブライアン・クラフと、彼を支えるコーチのピーター・テイラーの姿から始まります。低迷するチームを率いる彼らは、FAカップに挑戦。強豪リーズ・ユナイテッドとの対戦で惨敗を喫しますが、この屈辱をバネに、クラフは選手補強を敢行し、チームの強化にまい進します。

ダービー・カウンティはその後、見事な快進撃を見せ、1部リーグ優勝という偉業を達成します。しかし、クラブ会長サム・ロングサンとの不和から、クラフとテイラーは解任されてしまいます。栄光の頂点に立った後、彼らを待ち受けていたのは、まさかの解任という厳しい現実でした。

リーズ・ユナイテッド監督への就任と、新たな苦悩

その後、クラフはイングランドの強豪クラブ、リーズ・ユナイテッドの監督に就任します。前監督ドン・レヴィーがイングランド代表監督に就任したことに伴う抜擢でした。レヴィーの下で成功を収めたチームを、クラフはさらに輝かしいものにしようと意気込みますが、テイラーとの袂を分かったことで、チームとの間に溝が生じてしまいます。

自信過剰な発言や、行き過ぎた行動が、選手たちとの信頼関係を損ない、思うような結果を残せないで苦しむクラフ。監督として、そして人間として、大きな試練が待ち受けていました。映画では、クラフの成功と失敗、そして人間的な魅力が、繊細かつ力強く描かれています。

細部にまでこだわったリアリティ

トム・フーパー監督は、単なるサッカー映画にとどまらず、当時のイングランド・サッカー界の雰囲気や、イギリス文化を丁寧に描写することにこだわりました。当時のフィルム映像やユニフォームを精巧に再現し、リアリティを追求しています。また、選手役には元サッカー経験者を選抜し、チェスターフィールドFCの趣のあるスタジアムを使用するなど、細部にわたるこだわりが作品全体のクオリティを高めています。

名優マイケル・シーンの熱演

ブライアン・クラフ役を演じるのは、英国を代表する名優マイケル・シーン。クラフの複雑な内面、揺れ動く感情を、見事に表現しています。彼の演技は、この映画をさらに深く、感動的なものへと昇華させています。

『くたばれ!ユナイテッド -サッカー万歳!-』は、単なるスポーツ映画の枠を超えた、人間ドラマとして、多くの人々の心に響く作品です。サッカーファンはもちろん、そうでない人にも、強くお勧めしたい一本です。

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