トヨタ・ウィングレット

ウィングレット (Winglet)

ウィングレットとは、日本の自動車メーカーであるトヨタ自動車が開発した、充電式の搭乗型パーソナル移動支援ロボットです。車輪の配置はセグウェイと同様に横二輪となっており、搭乗者が重心を移動させることで進行方向や速度を制御します。トヨタはこれを「パーソナル移動支援ロボット」と位置づけ、同社のロボット開発プロジェクトであるトヨタ・パートナーロボットの一環として発表しました。その存在が一般に初めて公開されたのは2008年8月1日のことです。

初期仕様と課題

2008年の発表当初、ウィングレットは試作車としてタイプL、M、Sの3種類が用意されました。これらのモデルは、いずれも最高速度が時速6キロメートルに設定されていました。走行距離については、最も軽量なタイプSが約5キロメートル、タイプMおよびLは約10キロメートルの走行が可能でした。

しかし、これらの試作車には実用化に向けた課題も存在しました。特に、試作段階ではマグネシウム合金などの高価な素材が多用されており、もしそのまま製品化すると100万円を超える製造コストがかかると見積もられました。また、最も軽いタイプSでさえ約9.9キログラムの重量があり、さらなる低価格化と軽量化が重要な開発課題となりました。

実証実験の推進

発表後、ウィングレットは実用化に向けた様々な場所での走行試験に供されました。初期には、中部国際空港や大型商業施設であるトレッサ横浜、複合リゾート施設のラグーナ蒲郡といった場所で、施設内における実証実験が実施されました。これにより、実際の利用環境下での性能や課題が検証されました。

さらに、公道での実証実験も進められました。2013年7月23日には、つくばモビリティロボット実験特区において、初めて公道での走行実験が行われました。この試験では、一般的な試験車の寸法として、全長と幅がそれぞれ約50センチメートル、高さが約120センチメートルであることが示されました。充電により稼働し、最高速度は時速6キロメートルです。搭乗者が体の重心を前後左右に傾けることで、発進や停止、方向転換といった操作を行います。その後も、2014年には豊田市立ち乗り型パーソナルモビリティ実験特区でも公道走行試験が行われるなど、様々な環境下での検証が進められました。

2015年時点の仕様

2015年時点では、試作車としてショートタイプとロングタイプの2種類が公開されています。これらのモデルは、車体の全長と全高以外の仕様は共通とされており、初期モデルからの変更が見られました。特に、重量は約20キログラムとなり、初期のタイプS（約9.9kg）から増加しています。また、走行距離は約4キロメートルとなり、こちらも初期モデルの走行距離よりも短縮されています。

法的位置づけの進展

搭乗型移動支援ロボットの実用化には、関係法令の整備が不可欠でした。2015年7月10日からは、関係法令の改正により、全国各地で搭乗型移動支援ロボットの実証実験を行うことが可能となりました。ウィングレットは、定格出力500Wの電動機を搭載していることから、改正された道路交通法において、原動機付自転車のうち「歩道等移動専用」の区分に正式に分類されることとなりました。ただし、公道上での走行については、認定を受けた実験特区と同様の手続きを経る必要があるとされています。

これらの実証実験や法整備を経て、ウィングレットは新たな移動手段としての可能性を模索し続けています。

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