トヨタ・エスティマ

エスティマ（ESTIMA）

エスティマは、トヨタ自動車が1990年から2019年まで製造した大型ミニバンです。このモデルはその特徴的なデザインと卓越した技術で多くのファンを魅了し続けました。特に「天才タマゴ」というキャッチコピーと共に初代モデルが登場した際、その独特の丸みを帯びたフォルムは一世を風靡しました。

初代エスティマ（1990年-2000年）

初代エスティマは、1990年に市場に登場し、当時の車両デザインの常識を覆す存在でした。特に目を引いたのは、その未来的な卵型スタイルとともに、ミッドシップエンジンを搭載したユニークなレイアウトです。これにより、室内空間が広がり、従来のワンボックスカーの概念を刷新しました。

このモデルは1999年に販売が終了するまでに、多くのバリエーションが生まれました。特にエスティマエミーナとエスティマルシーダとして展開されたモデルは、当初のエスティマを縮小した形で提供され、異なるニーズに応えるよう配慮されました。

しかし、エンジンの性能においては競合と比較して苦戦しました。特に北米市場では、エンジンパワーの不足を指摘され、支持を得ることは非常に難しかったのです。エスティマが海外市場でプレビアという名称で販売された際にも、同様の問題が影響しました。

2代目エスティマ（2000年-2006年）

2000年に発表された2代目は、初代のデザインを踏襲しつつも、駆動方式を前輪駆動に変更し、大柄でも運転しやすいミニバンの印象を強めました。このモデルからはハイブリッドシステムも導入され、環境性能が飛躍的に向上しました。特に「エスティマハイブリッド」はミニバン部門で初のハイブリッドカーとして注目を集め、この技術は以降の従来車に影響を与えることとなります。

販売面では大ヒットを記録し、特装車や様々なグレードが販売されました。また、室内の利便性向上のために、スライドドアの導入やセンターメーターの採用など、ユーザビリティを考慮した改良が施されました。特に、7人乗り仕様と8人乗り仕様が設定され、多様な利用シーンに対応できるよう工夫されています。

3代目エスティマ（2006年-2020年）

3代目のエスティマは2006年に登場し、さらに進化したボディデザインが採用されました。エクステリアは涙目形のヘッドランプやフローティングルーフなど、新しいスタイルを具現化しました。性能面では、引き続きハイブリッドモデルに心血を注がれており、燃費性能の大幅な向上が図られました。

また、インテリアは直線基調で広がりのあるデザインが特徴的で、シートアレンジのバリエーションも増え、使い勝手の良さを追求しています。高級感も増し、オプションで本革シートが用意されるなど、ファミリーカーとしての地位を確立し続けました。

最終的に、トヨタは2020年にこのモデルの生産を終了し、約30年間にわたるエスティマの歴史に幕を下ろしましたが、それまでの間に多くのユーザーの記憶に残る存在となり、多くのカスタムカーのベースモデルにもなったことが特筆されます。

車名の由来

エスティマの名称は、「尊敬すべき」という意味を持つ英語の「ESTIMABLE」から来ており、日本国外では「プレビア」や「タラゴ」として知られています。これらの名称での販売も行われましたが、日本市場での存在感は圧倒的でした。エスティマは時代を越えた魅力とともに、多くのファンに支持され続けた日本を代表するミニバンです。

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