特装車

特装車とは何か？

特装車とは、自動車メーカーが製造した完成車に、特定の用途や目的に合わせて部品や装置を取り付けたり、ボディやシャーシを改造した車両のことです。完成検査修了証が添付された完成車をベースに、様々なカスタマイズが施されています。 自動車メーカーによる生産ラインでの製造や、専門の架装メーカーによる改造など、製造方法も多岐に渡ります。

商用車の特装車

商用車における特装車は、トラックや貨物車のシャーシに、用途に特化した多様な装備が搭載された車両です。一般的な荷台ではなく、アルミバン、冷凍冷蔵車、キャリアカー、タンクローリー、コンクリートミキサー車、クレーン車など、様々な種類があります。

これらの車両は、多くの場合、自動車メーカーから「キャブシャシー」（運転台と車枠のみ）の状態で購入され、専門の架装メーカーによって、ユーザーのニーズに合わせた設計、製作、取り付け加工が行われます。改造車検を経てユーザーに引き渡されるのが一般的です。

さらに、事故などで廃車となった車両から取り外した荷台を、中古車のシャーシに架装する「再架装」や、既存の車両に新たな装備を追加する「追架装・二次架装」といったケースも存在します。これらの場合も、改造車検が必要となります。

乗用車の特装車

乗用車においては、自動車メーカーまたは関連メーカーが、専用エアロパーツ、エンジン、サスペンションなどの換装やボディの改造を行い、販売される車両が特装車に分類される場合があります。高齢者や体の不自由な方のための福祉車両なども、特装車の範疇に入ります。これらの車両は、標準モデルとは異なる特別な仕様や機能が追加されている点が特徴です。

特装車の製造とカタログモデル化

商用車の特装車の中には、冷凍冷蔵車やキャリアカー、クレーン車など、需要が集中する特定の仕様について、自動車メーカーがカタログモデル化しているものもあります。カタログモデル化することで、メーカーは半完成車の状態で出荷でき、納期短縮が可能です。架装メーカーにとっても量産効果による価格低減が可能になり、ユーザーにとってもメリットが大きくなります。

しかし、顧客の要望は多様であり、自動車メーカーが全ての仕様をカタログ化することは現実的ではありません。そのため、顧客からの特別な仕様要求に対応する必要があり、架装メーカーの技術力や柔軟性が求められます。

近年では、自動車メーカーの生産工場で、標準車と同じライン上で特装車の生産を行うケースも増えています。これにより、架装メーカーによる改造の手間を削減し、生産効率の向上や品質の安定化が期待できます。

特装ベースシャシー

近年では、特定の用途に適した「特装ベースシャシー」が自動車メーカーによって生産されています。ダンプカー、コンクリートミキサー車、タンクローリー、冷凍冷蔵車、高所作業車、消防車、救急車、キャンピングカーなど、様々な用途に対応した専用シャシーが用意されています。これにより、架装メーカーは、最適なシャーシを選択し、効率的な架装作業を行うことができます。しかし、これらの専用シャシーを、メーカーの想定とは異なる架装に流用することもあります。

主要な特装車メーカー

特装車の製造には、自動車メーカー、自動車メーカー系架装メーカー、そして独立系の架装メーカーなど、多くの企業が関わっています。トヨタ、日産、ホンダ、三菱など主要自動車メーカーに加え、数多くの架装メーカーが、それぞれの専門性と技術力を活かし、多様な特装車を製造しています。 これらのメーカーは、自動車メーカーと連携して、顧客のニーズに応じた特装車の開発・製造に貢献しています。 近年では、大規模な企業による買収や合併、事業譲渡なども見られ、業界構造の変化も進んでいます。

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