トヨタ・サクシード

トヨタ・サクシード：実用性と合理性を追求した商用車の歴史

サクシードは、トヨタ自動車がかつて製造・販売していたライトバンおよびステーションワゴンです。2002年に登場し、2020年に生産終了するまで、日本の商用車市場において独自の地位を築きました。姉妹車であるプロボックスと共に、ビジネスの現場を支える実用車として活躍しました。

開発の背景とコンセプト

サクシードは、カルディナバンやカローラバン/スプリンターバンの後継車として開発されました。開発コンセプトは、日産・ADバンを凌駕する性能、使い勝手の良さ、そして徹底的なコストダウンでした。「シンプル イズ ベスト」を掲げ、不要な装備を排除し、ビジネスユースに特化した設計が特徴です。

開発の背景には、先代車の陳腐化や商用車市場での競争激化がありました。カローラバン/スプリンターバンとカルディナバンの統合による合理化も目的の一つでした。

車両の特徴

サクシードは、プラットフォームに初代ヴィッツ系統のNBCプラットフォームを採用。フロント部分を延長し、衝突安全性を確保しました。リアフロアパンは、荷室容積を最大限確保するために専用設計され、ショックアブソーバーを後傾させることで床下配置を可能にしました。足回りには、プロボックス&サクシード専用に開発された4リンク式車軸懸架を採用し、安定した走行性能を実現しています。

インテリアは、A4ファイルやモバイルノートパソコンが収納できる大型ドアポケット、カードホルダー、ペンホルダーなど、ビジネスユースに特化した機能が充実しています。乗降用ドアノブには、コストの安いフリップ式ではなく、バーグリップ式を採用するなど、細部にもこだわりが見られます。

安全面では、衝突安全ボディGOAを採用し、国土交通省の自動車アセスメントで最高レベルの評価を得ています。環境性能にも配慮し、全グレードで超低排出ガス車認定を取得しました。

モデルの変遷

サクシードは、2002年の登場以来、幾度かの改良を経て進化を続けました。

2002年7月販売型 (XP5#型)：初代モデル。商用バンとワゴンモデルが設定されました。
2003年5月：特別仕様車「TX Gパッケージ・リミテッド」を発売。
2005年8月：一部改良。マニュアルレベリング機構付ヘッドランプを全車に採用。
2008年8月：一部改良。ハイマウントストップランプを全車標準装備。
2010年6月：一部改良。燃費向上と排出ガス低減を実施。
2012年4月：一部改良。ワゴンにおいて、リア中央席に3点式シートベルトとヘッドレストを標準装備。
2013年10月：ワゴンモデルの販売を終了。
2014年8月販売型 (XP16#V型)：マイナーチェンジ。トランスミッションをSuper CVT-iに変更し、燃費を向上。VSC&TRC、ヒルスタートアシストコントロールなどを全車に標準装備。エクステリアがプロボックスと共通化されました。
2016年8月：一部改良。衝突回避支援パッケージ「Toyota Safety Sense C」を全車に標準装備。アイドリングストップ機能を追加。
2018年11月：一部改良。ハイブリッド車（NHP160V型）を追加設定。
* 2020年5月：バンモデルの販売を終了。

プロボックスとの違い

サクシードは、姉妹車であるプロボックスと比較して、より上級な位置づけでした。しかし、2014年のマイナーチェンジでその差は縮小され、主な違いはエンジンバリエーション程度となりました。かつては、外観デザインや最大積載量、エンジンラインナップなどに違いがありました。

まとめ

サクシードは、ビジネスユースに特化した設計と、徹底的なコストダウンによって、日本の商用車市場において独自の地位を築きました。プロボックスとの統合により、その役割を終えましたが、開発コンセプトや特徴は、現代の商用車にも影響を与えています。

実用性と合理性を追求したサクシードは、日本の経済を支える一台として、その名を記憶されるでしょう。

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