トヨタ・MR-S

トヨタ MR-S（エムアールエス）

トヨタ自動車が1999年から2007年にかけて製造したMR-S（エムアールエス）は、スポーツカー市場に新たな風を吹き込んだモデルです。MR-Sは元々の計画に基づき、軽量で運動性に優れたライトオープンスポーツを目指しました。この車両は、四人乗りコンセプトカー「MR-J」に端を発し、1997年の東京モーターショーで参考出品車として披露されました。その後、1999年のフランクフルトモーターショーで市販化が決定され、10月に日本市場で発売を開始。2000年春には欧州と米国にも展開されました。

開発背景と特徴

車名の「MR-S」は「Midship Runabout-Sports」の略であり、独自のプラットフォームが開発されました。エンジンは1.8Lの自然吸気エンジン1ZZ-FE型を搭載。運転した際の楽しさを重視し、部分的に他モデルのコンポーネントを流用することで軽量化を実現しています。車両重量は1000kgを下回る設定で、運動性能の向上が図られました。また、MR2（SW20型）と同じパワーユニット配置を採用し、リアトランクを廃してシート背面にラゲッジスペースを設けることで最適な重量配分が達成されています。

人気と販売

MR-Sは日本国内で21,039台が新車登録され、その他にも海外市場での販売が行われましたが、全体の生産台数は8万台に満たず、同クラスの車両と比較すると控えめです。特に、スポーツカー市場の縮小が進む中、2006年には年間生産台数が1,000台程度に落ち込む事態となり、2007年には販売が終了しました。なお、日本市場では「MR-S」として知られる一方で、英語圏では「Mrs.」という表現が紛らわしいため、MR2の名を引き継ぎ、欧州ではMR2ロードスター、米国ではMR2スパイダーとして知られています。

モータースポーツとの関わり

MR-Sはその特性を活かし、全日本GT選手権GT300クラスにおいても活躍しました。トヨタ・アペックスが開発したMR-S GTは、2001年のシーズンではプライベーターにも愛用され、年間優勝を果たしました。この競技用モデルもトヨタのエンジンを搭載し、特別な改造が施されることでレースでの性能向上が図られました。さらに、トイ・ストーリーやカーズとのコラボモデルも登場し、多くの支持を集めました。

終焉とその後

MR-Sは2007年に生産を終了しましたが、その名残は今も多くのファンに愛されています。また、トヨタはその後2012年にスポーツカーの新ラインナップである86を発表しており、「MR-S以来のスポーツカー」として注目されました。MR-Sはラグジュアリーな外観と走行性能を両立させたモデルとして、今もなお多くの人々の記憶に残り続けています。

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