トヨタ・WiLL VS

トヨタWiLL VS：スタイリッシュな走りを楽しむコンパクトカー

2001年、トヨタは異業種7社との合同プロジェクト『WiLL』から生まれた個性的なコンパクトカー、WiLL VSを発売しました。若年層、特に30歳代の独身男性をターゲットに開発されたこの車は、そのスタイリッシュなデザインとスポーティな走りが大きな特徴です。

開発コンセプト：クールで遊び心のある一台

『WiLL』プロジェクトは、若年層の消費行動を分析し、「リラックス」「エモーション」「クリエイティブ」「クール」という4つのキーワードを抽出し、それぞれのキーワードをテーマにした商品開発を進めました。WiLL VSは、「クール」をテーマにした最初のモデルとして誕生しました。開発にあたっては、ターゲット層である独身男性が求める要素を徹底的に調査。その結果、「カッコよさ」「実用的な収納スペース」「ストレスのない走行性能」という3点が重要であることがわかりました。これらの要素をバランスよく融合させることで、単なる移動手段ではなく、所有する喜びを感じられる一台を目指しました。

デザイン：独創的なスタイルと実用性の融合

WiLL VSの最大の魅力は、その独創的なデザインです。複数の面を組み合わせたエクステリアは、クーペのようなスポーティさとワゴンのような実用性を両立。大胆に絞り込まれたリアビューや、特徴的なリアコンビネーションランプは、高い個性を主張しています。インテリアも同様に個性的なデザインで、低く構えたインストゥルメンタルパネルや、航空機のスロットルレバーをモチーフにしたL字型シフトレバーなどが目を引きます。しかし、デザイン性だけでなく実用性も重視されており、大人4人が快適に座れる広々とした室内空間や、6：4分割可倒式リアシートなど、使い勝手の良さにも配慮されています。

メカニズム：スポーティな走りと高い信頼性

WiLL VSは、カローラやセリカと共通のMCプラットフォームを採用しており、高い信頼性を確保。サスペンションは、カローラやセリカで定評のある形式をベースに、WiLL VS向けに専用チューニングが施され、スポーティな走りを可能にしています。トランスミッションは当初4速ATのみでしたが、2002年のマイナーチェンジで6速MTも追加され、よりスポーティな走りを楽しむことができるようになりました。エンジンは、1.5Lと1.8Lの2種類が設定され、ユーザーのニーズに合わせて選択が可能でした。

販売戦略とバリエーション

WiLL VSは2001年4月に発売。当初は3種類のエンジンと駆動方式の組み合わせが用意されました。その後、2002年には1.5Lエンジン搭載車や6速MT車、そして「レッドスペシャル」や「ホワイトスペシャル」といった数量限定車も追加され、バリエーションはさらに広がりました。インターネット限定販売のモデルや、特別仕様車なども設定され、ユーザーの多様なニーズに対応しました。ボディカラーも豊富に用意され、個性あふれる一台を手に入れることができました。2004年には、ネッツトヨタ店とトヨタビスタ店の統合に伴い販売が終了しました。

WiLL VSの名前の由来

車名の「VS」の「V」は「Vehicle」を表し、「WiLL Vehicle」としてブランド商品群における位置づけを示しています。「S」は、「Smart」や「Sporty」といった、ターゲット層である30歳代の独身男性の嗜好を表しています。

学生参加による開発

興味深い点として、WiLL VSの開発には法政大学と学習院大学の学生が参加していました。大学のゼミ活動の一環として、商品開発プロセスに携わったことで、学生の視点を取り入れることができたと考えられます。

まとめ

WiLL VSは、独創的なデザインとスポーティな走り、そして実用性を兼ね備えた、個性あふれるコンパクトカーでした。多くの限定車も発売され、高い人気を博しました。トヨタの挑戦的な姿勢が感じられる一台と言えるでしょう。

もう一度検索