トヨタ・WiLL Vi

トヨタ・WiLL Vi：時代を彩った個性派コンパクトカー

WiLL Viは、2000年から2001年という短い期間にトヨタ[[自動車]]が販売した、異彩を放つコンパクトカーです。異業種合同プロジェクト「WiLL」ブランドの先駆けとして登場し、そのユニークなデザインとコンセプトで注目を集めました。製造はセントラル[[自動車]]が担当し、トヨタのエンブレムをあえて使用しないブランディングも特徴でした。

開発の背景と概要

WiLL Viは、「トヨタにないカテゴリーの新コンセプトカー」というテーマから生まれました。初代ヴィッツのプラットフォームをベースに、1.3Lエンジンと4速ATを組み合わせた実用的な設計です。しかし、エクステリアとインテリアは、既存のトヨタ車とは一線を画すものでした。

外観は、シンプルながらもシャープなパネル面とグルーブドラインが特徴的で、馬車を連想させるクリフカットシルエットが個性を際立たせています。前後のフェンダーアーチを対称形とし、ブリスターフェンダーと大径タイヤで安定感を強調しました。内装は、「和やかなリビング」をイメージし、フラットなシートや工夫を凝らした素材選びで、リラックスできる空間を演出しています。

環境への配慮と販売戦略

WiLL Viは、環境性能にも配慮し、リサイクルしやすい熱可塑性樹脂を内外装部品に多用しました。防音材には廃車の破砕材を使用し、ラジエーターやワイヤーハーネスには鉛を含まない素材を採用するなど、環境負荷の低減に努めています。

販売面では、WiLLブランドの第1弾として、季節ごとに限定色を用意するなど、斬新なアプローチが試みられました。ターゲット層であるニュー・ジェネレーションの女性に響くような、魅力的なカラーバリエーションを展開しました。

短命に終わった理由と評価

WiLL Viは、2001年12月に生産を終了しました。その理由として、トヨタは「旬を逃さず商品を開発する」という考え方を挙げています。販売台数は計画を下回ったものの、購入者の半数がニュー・ジェネレーション層の女性であり、8割が初めてトヨタ車を購入した層であったことから、当初の目的は達成できたと評価しています。

年表と主な改良点

1999年10月：第33回東京モーターショーに参考出品
2000年1月：発売。標準車とキャンバストップ仕様の2種類
2000年8月：一部改良。ボディカラーに新色を追加
2000年10月：限定100台の特別仕様車「WEBバージョン」を発売
2001年1月：一部改良。制動装置をEBD付きに変更、ボディカラーに新色を追加
2001年6月：限定車「バニラトップ」を期間限定で発売
2001年7月：特別仕様車「シンデレラパール」を発売
2001年10月：生産終了を発表。人気色を「アンコールカラー」として再販

リコール情報

WiLL Viは、過去に以下のリコールが届け出られています。

2002年10月：後輪用ブレーキパイプの不具合
2005年10月：前照灯スイッチの不具合
2006年7月：エンジンのクランク角センサの不具合

その他のエピソード

車名の「Vi」は、「Vehicle」の「V」と、「identity」「independence」「individual」といったターゲット層の志向にちなんでいます。
初代ヴィッツと多くの部品を共有する一方で、初代ダイハツ・オプティのドアミラーやユーノス・ロードスターのサイドウインカーを流用していました。
洗車機の動作に対応しておらず、トラブルが起こるケースもありました。
トヨタ東京自動車大学校の生徒が、WiLL Viの改造車を東京オートサロンに出展しました。
トヨタ博物館の企画展で、WiLL Viが展示されました。

WiLL Viは、短い期間で市場から姿を消しましたが、その個性的なデザインとコンセプトは、今もなお多くの人々の記憶に残っています。時代を彩った異端児として、その存在意義は決して小さくありません。

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