トヨタ・i-REAL

トヨタ・i-REAL（アイリアル）

トヨタ・i-REALは、トヨタ自動車が手掛けた次世代パーソナルモビリティで、2007年の東京モーターショーで初めて姿を現しました。このモデルは、これまでにトヨタが開発してきた「PM」「i-unit」「i-swing」などのコンセプトを基にしており、より進化した形で市場に送り出されています。

概要

i-REALは、実用化を見据え、従来型の車両に比べてドアをなくし、全体のサイズを小型化しました。これにより、人間の身体によりフィットする形状となり、居住性を向上させています。背面にはディスプレイが設けられ、任意の映像を表示可能で、視覚的な訴求力も高めています。

動力に関しては、従来通り電気を使用し、操縦のためのコントロールは「ドライブコントローラー」というジョイスティックのような装置で行います。低速走行時はホイールベースを短縮し、機動性を高める工夫がなされています。また、速度に応じてリアの一輪を後方に移動させることで、車の安定性も確保しています。加えて、サスペンションはリアルタイムで調整され、ボディが内傾しながらも滑らかな走行を実現します。

i-REALには「コミュニケーション・ディスプレイ」が搭載されており、他のi-REALとの情報交換やコミュニケーションが可能です。特に2008年には洞爺湖サミットにおいて環境問題に関する提案の一環として披露され、当時の福田康夫首相や多くの報道関係者が試乗しました。

セントレアモデル

2009年6月、中部国際空港での実運用が始まることが発表され、トヨタがi-REALを無償提供する代わりに走行データを収集していく計画が立てられました。このモデルでは、案内業務用と警備業務用の二つの仕様が用意されています。

案内業務に使用される「Ann」は空港バッグを装備し、パンフレットやパソコンを収納しています。一方、警備業務用の「Kei」は屋根が付いており、自動体外式除細動器（AED）を備えています。これにより、緊急時にも迅速に対応できるよう設計されています。i-REALは1回の充電で約30kmの航続距離を誇り、最高速度は約30km/hですが、空港内の運用では通常時6km/h、緊急時には15km/hに制限されています。

操作はドライブコントローラーによって行われ、前に倒すと前進、後ろに倒すとブレーキ、左右に倒すとステアリング操作ができます。特に歩行モード時にはその場で旋回可能で、利用者にとって非常に扱いやすい設計となっています。また、ジャイロセンサーを搭載し、段差を克服するための制御も行われ、周囲の状況に応じて自動的に停止する安全機能も備わっています。走行音についても、電気モーターが採用されているため音が静かな一方、周囲に認識されやすいよう「音」を発して走行します。

諸元

• - 全長: 995mm（低速モード） / 1510mm（走行モード）
• - 全幅: 700mm
• - 全高: 1430mm / 1125mm
• - ホイールベース: 485mm / 1040mm
• - 乗車定員: 1人
• - 駆動方式: 前輪駆動

i-REALはトヨタ自動車の革新性を象徴するモデルとして、未来の移動手段の一端を担う存在です。

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