トライアングル (小説)

『トライアングル』

概要

『トライアングル』は新津きよみによる2008年出版の推理小説であり、同作を原作としたテレビドラマも制作されました。物語は、私立大学医学部を卒業後に開業医として働きながらも、ある誘拐殺人事件をきっかけに国際警察の刑事へと転職した一人の男性が、過去の事件の真相に迫る様子を描いています。さらに、過去のトラウマを抱えていた元教師が新たに訪れた一人の女性を通じて成長し、子供に向き合おうとする姿も描かれています。

ストーリー

物語の中心となるのは、20年前に発生した葛城佐智恵という少女の悲劇的な誘拐殺人事件です。郷田亮二は、小学四年生のとき、同級生である佐智恵を最後に目撃した人物で、事件後は医師の道を歩んでいましたが、やがて自らの道を選び刑事になる決意をします。事件が時効を迎えた後、亮二は警察での研修のため日本へ戻り、かつての同級生との同窓会に参加します。この場で「葛城サチ」と名乗る佐智恵に似た女性と出会い、彼女の存在をきっかけに過去の事件が再び動き出すことになります。

物語の随所には、「手紙」がヒントとなる重要な要素として登場し、故郷に埋もれた真実を掘り起こすきっかけとなります。特に「1/2成人式」の際に佐智恵が書いた作文が、謎を解くカギを握っています。

登場人物

• - 郷田亮二（ごうだ りょうじ） - 元医師で、現在は国際警察に勤務する刑事。かつての同級生である佐智恵の事件を追う。
• - 藤崎敏子（ふじざき としこ） - 事件当時の教師で、ショックから職を辞めたが、いまだに過剰な子供への接し方が問題となっている。
• - 葛城佐智恵（かつらぎ さちえ） -何者かに誘拐され、命を奪われた少女。亮二が思いを寄せていた相手。
• - 葛城サチ（かつらぎ さち） - 佐智恵の生まれ変わりを名乗る女性。彼女の出生には隠された秘密がある。
• - 丸山慶太（まるやま けいた） - 亮二の教育係で、事件の真相追求に協力する。

テレビドラマ

2009年には、関西テレビによって『トライアングル』がテレビドラマ化されました。主演は江口洋介が務め、物語は東京、大阪、パリ、上海の4都市でのロケが行われました。ドラマ版では原作とは異なるオリジナルのストーリーが展開され、真犯人の設定も変わるなど新たな要素が加わっています。キャッチコピーは「初恋の少女は、25年前に殺された。はずだった。」

関連商品とその他

原作小説のサイドストーリーや、ドラマのオリジナルサウンドトラック、DVDボックスもリリースされており、多くのファンに支持されています。特に、物語の中で重要な役割を果たす手紙や、葛城家の複雑な人間関係に注目が集まっています。物語全体を通じて、過去の痛みを抱えながらも向き合う勇気が描かれており、視聴者や読者に深い感動を与えています。

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