トライアンフ・ヘラルド

ヘラルド (HERALD)

トライアンフによって製造されたヘラルドは、1959年から1971年にかけて多彩なモデルが展開された自動車です。標準8および10の後継として開発されたヘラルドは、ユニークなX型セパレートフレームの上に、著名なデザイナー・ミケロッティによるスタイリッシュなボディが組み合わされていました。その結果、2ドアサルーン、コンバーチブル、クーペ、バン、ステーションワゴンといった豊富なボディバリエーションを持ち、広範なニーズに応えることができました。

ヘラルドは、エンジンにおいても注目すべき特徴があります。すべてのモデルに水冷式の直列4気筒エンジンが搭載され、948cc、1147cc（Herald 1200）、1296cc（13/60）の3つの排気量が用意されていました。これらのエンジンは、フロアシフト式の4速マニュアルギアボックスと組み合わされ、運転者にとって扱いやすい設計がなされていました。

1950年代後半、Morris MinorやFord Popular、Austin A35といった競合車が市場にあふれる中、スタンダード・トライアンフのサルーンレンジは、地味ではありながらも革新的な設計で知られていました。特に小型4気筒エンジンの803ccや948ccが評価され、トライアンフの2シーター小型スポーツカーと共に成功を収めていました。この成功を背景に、次なるモデルとしてヘラルドが遂に姿を現しました。

ヘラルドの生産は、複数のボディタイプにわたるため、台数も非常に多岐にわたります。例えば、948サルーンは1959年から1964年までの期間に76,860台が生産され、948コンバーチブルも一部の年に8,262台が生産されました。さらに、ヘラルド1200は1961年から1970年の間に289,575台、様々なバリエーションが生産され、サルーンが201,142台、クーペが5,319台、コンバーチブルが43,295台、エステートが39,819台、バンが約5,000台と、多数に上ります。また、12/50や13/60といったモデルも生産されました。

興味深いことに、ヘラルドはイギリス国内での生産だけでなく、海外でも組み立てが行われました。特にインドのマドラスでは、Standard Heraldとしてヘラルドが製造されており、基本的な948ccエンジンに加え、4ドアサルーンと5ドアエステートボディが追加されていました。これにより、国際的な市場においてもヘラルドの存在感を示しました。

1971年にはボディデザインに変更が加えられ、車名もStandard Gazelに変更されました。エンジンはそのままでしたが、リアアクスルにはヘラルドとは異なる設計が採用されました。Gazelの生産は1977年に終了し、ヘラルドの歴史に一つの終止符を打つこととなりました。このように、ヘラルドは時代と共に進化し、多くのユーザーに愛され続けた自動車であったと言えるでしょう。

さらに、ヘラルドと同じくトライアンフが手掛けた数々の車両や、スタンダード・モーター・カンパニーが関与する歴史背景についても探求する価値があります。

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