トライトーン

トライトーン

「トライトーン」という言葉は、文脈によって二つの異なる意味で用いられます。一つは音楽理論における特定の音程を指す専門用語であり、もう一つは日本の著名な音楽グループの名称です。

音楽用語としてのトライトーン

音楽において「トライトーン」（Tritone）は、特定の音程、すなわち二つの音の隔たりを指します。具体的には、「増四度」（Augmented Fourth, A4）または「減五度」（Diminished Fifth, d5）と呼ばれる音程を指します。

この音程がなぜ「トライトーン」と呼ばれるかというと、これは「三全音」という意味であり、二つの音の間に全音の隔たりが三つ分あることに由来します。

音程は、鍵盤楽器などで考えると分かりやすいでしょう。例えば、ド（C）の音から全音を数えていきます。ドからレ（D）までが全音一つ分、レからミ（E）までが全音二つ分です。ミからファは半音ですが、ミからファ♯（F#）までは半音二つ分、つまり全音一つ分です。したがって、ド（C）からファ♯（F#）までは、ド→レ（全音）、レ→ミ（全音）、ミ→ファ♯（全音）と、合計で全音三つ分の隔たりがあることになります。これが「三全音」、すなわちトライトーンです。この例におけるCとF#の音程は「増四度」と呼ばれます。

また、シ（B）の音からファ（F）の音への隔たりもトライトーンです。シからドまでは半音、ドからレは全音、レからミは全音、ミからファは半音です。これを全音単位で考えると、シからドは半音、ドからファは全音二つ半（ド→レ 全音、レ→ミ 全音、ミ→ファ 半音）となります。シからファへの音程は、半音五つ分、つまり全音二つ半です。これは減五度と呼ばれます。鍵盤上で考えると、CからF#もBからFも同じ鍵盤の距離であり、これが異名同音と呼ばれる概念につながりますが、トライトーンは増四度と減五度の両方を指す言葉として用いられます。

このトライトーンの響きは、古くから不協和で不安定な響きを持つとされてきました。音楽理論上、解決を必要とする音程と見なされることが多く、楽曲に緊張感や推進力を与えるために効果的に使用されます。

ア・カペラグループ「TRY-TONE」

もう一つの「トライトーン」は、日本で活動する音楽グループの名称です。彼らは「TRY-TONE」という名前で知られる、混声ア・カペラグループです。人間の声だけでハーモニーを奏でるア・カペラというスタイルで、幅広い楽曲を手掛けています。

まとめ

このように、「トライトーン」という言葉は、音楽理論における特定の音程（三全音、増四度、減五度）を指す場合と、日本の混声ア・カペラグループの名称を指す場合があります。どちらの意味で使われているかは、文脈によって判断する必要があります。音楽の世界では、特定の響きを持つ重要な音程であり、同時に才能あるア・カペラグループの名前としても親しまれています。

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