トラベルバブル

トラベルバブルとは

トラベルバブルとは、新型コロナウイルス感染症（COVID-19）の影響が薄れたアフターコロナ時代において、近隣国同士が緊密な地理的・社会的・経済的関係を持つことを背景に、安全に海外旅行を行うための枠組みを指します。これにより、各国は共通の感染防止策を講じたうえで、バブル内の自由な往来を促進し、旅行業や航空業界の活性化を狙っています。

トラベルバブルの起源

この概念は、ニュージーランドのアーダーン首相が「Stay Home」と述べる際の代わりに、「Stay in your bubble」という表現を用いたことに端を発します。この言葉は、家庭や地域コミュニティを指しているものであり、そこから派生して国際的なバブルへと拡大しました。その後、ニュージーランドとオーストラリアの間で「トランス・タスマン・バブル」が締結され、移動を再開する合意が形成されたことが、この取り組みの先駆けとなったのです。

他地域での具体例

ヨーロッパでは、エストニア、ラトビア、リトアニアのバルト3国が5月15日に国境を開放し、自由往来を再開しました。これがヨーロッパにおける最初のトラベルバブルとして認識されています。また、EU内ではシェンゲン協定が機能しており、パスポート審査なしで国を越えることができるため、トラベルバブルを結ぶ動きが活発です。日本では6月末時点で限られた国に対してのみビジネス目的の渡航を受け入れており、トラベルバブルが完全に確立されている状況ではありません。

エアブリッジという概念

トラベルバブルを進めるにあたり、まずは「エアブリッジ協定」を結ぶ必要があります。これは、バブル内で移動する2地点間において、感染防止のための隔離を免除することで、旅行者が負担なく行動できる環境を整えるものです。免除の条件には、特に感染再生産数が1を下回っていることが求められます。

ビジネストラックとレジデンストラック

国際的な往来を再開する際には、通常「ビジネストラック」と「レジデンストラック」が利用されます。日本でのビジネストラックは短期的な出張者向けで、一定の条件を満たすことで、入国後の隔離期間中にも行動が許可されます。対して、レジデンストラックは長期滞在者向けであり、入国後も自主待機が求められます。この取り組みによって、日本は2020年11月30日より11の国と地域との業務往来を再開しました。

安全策の必要性

トラベルバブルには、感染症対策が不可欠です。具体的には、旅行者は出発前にPCR検査を受け、その結果を示す健康証明書を提示することが求められます。また、目的地への到着時には再検査が行われ、滞在中の行動予定や連絡先も提出する必要があります。感染が発生した際には追跡可能性を確保するための準備が整えられなければなりません。さらに、ワクチン接種証明書の携行が義務となる提案もあります。

課題と懸念

トラベルバブルの魅力に惹かれて早急に自由往来を再開することで、逆に再流行のリスクが高まることが懸念されています。特に日本とEU間ではトラベルバブルが未整備のため、移動すると自主隔離を求められる場合があります。このような複雑な状況下での自由往来の拡大には、安全面での慎重な判断が求められています。

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