トラム (メルボルン)

メルボルンの路面電車ネットワークの歴史と現状

オーストラリア南部に位置する都市メルボルンは、世界で最も広範な路面電車ネットワークを有し、2018年6月時点では約250kmの延長と1700以上の停留所を持っています。その在籍車両数は475両以上に達し、現在は民間企業のヤラトラムが運営しています。このネットワークの成り立ちや歴史を見ていきましょう。

初期の運行形態

メルボルンでは1884年に最初の馬車鉄道が開業し、これが街の公共交通の起源となりました。この時期には7系統が存在していましたが、1890年には最初の路線が廃止され、その後も1923年までにすべての路線が営業停止に追い込まれました。

1885年になると、世界最大規模のケーブルカー路線が開業し、最盛期には71kmに達しました。運行はダミーと呼ばれる車両と密閉車両の2両編成により行われていましたが、これも1925年以降、路面電車に取って代わられました。最後のケーブルカー路線は1940年に終了しました。

路面電車の発展と公営化

1889年には初の路面電車が開業しましたが、長続きせず1896年に廃止。その後の基盤を築いたのは1906年に始まったセントキルダ駅からブライトンまでの路線です。これが1916年には56.3kmにまで拡大し、数多くの企業によって運営されましたが、公共交通の効率化を目指して1919年に公営化され、MMTBが新たに設立されました。

1950年代には路面電車廃止論が浮上しましたが、ロバート・リッションの指導の下、路線の高規格化が進められました。その結果、メルボルンの路面電車は存続し続け、アデレードなどの数少ない路面電車網の一部として残りました。

組織改革と再度の民営化

1983年、運営組織はメトロポリタン交通局（MET）に統合され、近代化が進められました。しかし、1980年代末の景気後退やイギリスの影響を受けて運営効率化が求められ、1997年にMETは5つの企業に分割され、その後1999年からヤラトラムが運営を担当することになりました。さらに、スワンストン・トラムズの撤退を受けて、ヤラトラムが全路線の運行を引き継ぎました。

現在の路面電車運行体系

2018年6月時点でメルボルンの路面電車は24の系統を持ち、mykiという共通乗車カードが利用可能です。シティ・サークル線や中心部の一部区間は運賃が無料で、週末には終夜運行も実施されています。

車両について

ヤラトラムでは、9つの車両タイプが定期運行に就いており、475両以上の路面電車が運行されています。また、歴史的な車両が多く保存されており、一部は他の都市の博物館に収蔵されています。

主要車両の紹介

• - W形: 1923年から1956年に製造された標準型車両で、現在も13両が運用されています。
• - Z形: 1975年から製造された新型車両で、比較的多くの台数が在籍しています。
• - A形: Z形に続き登場した単車で、旧式のW形を置き換えるために導入されました。
• - B形: メルボルン初の連接車で、冷房装備もされているモデル。
• - C形とD形: 近代化された超低床電車として2000年代初頭に導入され、運行に貢献しています。
• - E形: 2013年に運行を開始した新しい超低床電車で、安全性が強化されたモデルもあります。

このように、メルボルンの路面電車は長い歴史と共に変わり続け、公共交通の一翼を担っているのです。

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