トランスクライバー

トランスクライバーとは

トランスクライバーとは、音声データを文字に書き起こす専門職です。写字生、謄写者、速記官、書記、筆記者、写本筆写者、代書人など、様々な呼ばれ方をしますが、いずれも「文字を書き写す人」という意味合いを持っています。具体的には、カセットテープ、ICレコーダー、音声ファイルなどの録音データを元に、その内容を文章化する作業を行います。

テープ起こし・音声反訳

この作業は一般に「テープ起こし」または「音声反訳」と呼ばれます。狭義には、録音された内容を一字一句違えることなく正確に書き起こすことを指しますが、広義には、音声データから編集や要約を行う作業も含まれます。ただし、後者の場合はライターと呼ばれることもあります。

かつては簡略文字を使った手書きで行われていましたが、修正が困難なため、近年ではパソコンやタイプライターを用いて印刷することが一般的です。

語源

「トランスクライバー」という言葉は、ラテン語の「transcribere」（trans「向こうに」+scribere「書く」）に由来します。

医療現場でのトランスクライバー

医療現場では、「メディカル・トランスクライバー」と呼ばれる専門職が活躍しています。彼らは主に病院や研究機関において、法的文書である医療カルテの作成時に、録音再生装置を使用して入力作業を行います。

医師は、放射線検査の写真を判断した後、所見と診断結果をカルテレポートとして各依頼科に送付します。診断結果は法的文書であるため、医師が行う入力作業をメディカル・トランスクライバーに依頼することが一般的です。専門のタイピストを配置することで、医師の作業効率を向上させることができます。

近年では、メディカル・トランスクライバーは専門職として認知され、病院などで求人が行われています。しかし、音声を聞いて文書にするだけの簡単な作業と思われがちですが、実際には医学に関する専門知識を必要とする、難易度の高い職種です。

トランスクライバーのトリビア

メディカル・トランスクライバーは、放射線診断用語、ドイツ語、英語、日本語など、複数の言語が混ざった文章を入力することが多いため、専用の医療単語が登録された辞書機能を使用します。同内容の単語を重複してタイピングすることも頻繁にあります。

医療以外の分野でも、会議の詳細な議事録などを音声から書き起こすトランスクライバーが存在します。これらの分野では、医療分野ほど同内容や同単語の使用頻度が高くないため、手入力が中心となります。

また、英語などの外国語のテープ起こしは、人件費の安い海外に外注されることもあります。

参考情報

日本医用トランスクライバー協会
東海大学病院放射線診療センター：トランスクライバーのページ
* 東京医科大学病院放射線画像診断部：トランスクライバーの日々

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