トラヴィス・スティーブンス

トラヴィス・スティーブンス（Travis Stevens、1986年2月28日 - ）は、アメリカ合衆国ベルビュー出身の柔道家です。階級は81kg級。身長180cm。

人物

7歳で柔道を始めたスティーブンスは、2007年のパンアメリカン競技大会81kg級で優勝。しかし、世界選手権では2回戦で敗退しました。2008年の北京オリンピックでは、3回戦で優勝したドイツのオーレ・ビショフに敗れ、敗者復活戦でもブラジルのティアゴ・カミロに敗れて9位に終わりました。

その後、柔道に加え、MMA（総合格闘技）、ブラジリアン柔術 (BJJ) 、レスリングなどのクロストレーニングにも取り組みました。2009年の世界選手権では初戦敗退。2010年のグランドスラム・パリでは、アメリカの男子選手としては珍しく3位に入賞しましたが、世界選手権では4回戦で敗れました。2011年のグランプリ・デュッセルドルフで優勝、グランドスラム・モスクワでも2位となりましたが、世界選手権では再び初戦で敗退しました。

2012年、ニューヨークにあるヘンゾ・グレイシー柔術アカデミーからBJJの茶帯を授与されました。ロンドンオリンピックでは、準々決勝で優勝候補の一人だったレアンドロ・ギルヘイロを破り、準決勝で前回敗れたビショフと対戦。GSまでもつれ込みましたが判定で敗れました。3位決定戦では、過去に何度も勝利していたカナダのアントワーヌ・ヴァロア＝フォルティエに敗れ、5位に終わりました。

ロンドンオリンピックでのビショフとの対戦では、内股で掛け潰れた際に、起き上がろうとしたスティーブンスの肘がビショフの顔に当たるというアクシデントが発生。両者が畳の上で睨み合う場面もありました。

2013年1月には、柔道とBJJを指導する道場をボストンに開設。平日は柔道中心の練習を行い、週末にはニューヨークとニュージャージーにあるヘンゾ・グレイシーの道場に出向き、指導と自身の練習に励みました。8月の世界選手権では、3回戦でドイツのスヴェン・マレシュに敗退。9月には、リオデジャネイロで開催されたプロBJJの大会であるコパ・ポジオのミドル級グランプリに出場し、5位となりました。2015年には、パンアメリカン競技大会で優勝を飾りました。世界選手権では、3回戦でドイツのアレクサンダー・ヴィーツェルザックの絞め技で敗れました。2016年には、世界ランク上位選手が集まるワールドマスターズで優勝しました。

2016年のリオデジャネイロオリンピックでは、寝技を中心に勝ち進み、準決勝では優勝候補と目されていたアブタンディル・チリキシビリを送襟絞で破るという番狂わせを演じました。決勝ではロシアのハサン・ハルムルザエフに内股で敗れましたが、銀メダルを獲得しました。

スティーブンスは、ロンドンオリンピック前に足の怪我で柔道の稽古ができなかった時期にBJJを始めました。BJJは柔道と異なり、リラックスして取り組むことができ、また世界レベルの選手が国内に多くいたため、有意義な経験となりました。しかし、BJJは柔道の寝技の改善には、それほど役立たなかったと述べています。BJJの技術の多くは競技柔道では反則となるか、使用できない技術であるためです。

引退後は、ジミー・ペドロと共に「柔道ファナティクス」を立ち上げ、オンラインでの柔道指導を行っています。また、ペドロが経営する「フジスポーツ」のマーケティング部門にも力を注いでいます。柔道連盟から23歳以下のコーチを依頼されましたが、プロフェッショナルなコーチ制度が採用されていないことを理由に依頼を断り、連盟とは別に国内のカデ世代(15－17歳)を支援するための「プロジェクト2024」をペドロらと立ち上げました。ペドロの道場で有望なカデ選手を指導するとともに、同じビル内で自らが運営する「BJJアカデミー」でも指導を行っています。

主な戦績

2007年 - パンアメリカン競技大会　優勝
2008年 - 北京オリンピック　9位
2009年 - パンナム選手権　優勝
2009年 - グランドスラム・リオデジャネイロ　3位
2009年 - ワールドカップ・バーミンガム　5位
2010年 - ベルギー国際　2位
2010年 - グランドスラム・パリ　3位
2010年 - パンナム選手権　3位
2010年 - ワールドカップ・リスボン　2位
2010年 - ワールドカップ・サンサルバドル　2位
2010年 - グランプリ・アブダビ　5位
2010年 - グランプリ・青島　3位
2011年 - ワールドマスターズ　5位
2011年 - ワールドカップ・ブダペスト　5位
2011年 - グランプリ・デュッセルドルフ　優勝
2011年 - パンナム選手権　2位
2011年 - グランドスラム・モスクワ　2位
2011年 - ワールドカップ・タシュケント　優勝
2011年 - グランプリ・アブダビ　3位
2012年 - グランドスラム・リオデジャネイロ　2位
2012年 - ロンドンオリンピック　5位
2013年 - パンナムオープン・モンテビデオ　優勝
2013年 - パンナム選手権　3位
2013年 - グランプリ・タシュケント　優勝
2013年 - グランドスラム・東京　5位
2014年 - グランプリ・デュッセルドルフ　優勝
2014年 - パンナム選手権　3位
2014年 - グランプリ・ハバナ　3位
2014年 - パンナムオープン・マイアミ　優勝
2014年 - グランプリ・ザグレブ　3位
2015年 - パンアメリカン競技大会　優勝
2016年 -　グランプリ・ハバナ　2位
2016年 - パンナム選手権　2位
2016年 -　ワールドマスターズ　優勝
* 2016年 - リオデジャネイロオリンピック 2位

(出典、JudoInside.com)

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