トラース・キック

トラース・キック（Thrust Kick）

トラース・キックとは、プロレスにおける重要な蹴り技の一つです。この技は相手を背後や横向きの状態で捉え、自身の片足を真っ直ぐに後方に伸ばし、相手の重要な部位、例えば顎や頭部、さらには喉や胸を蹴り上げるものであり、特に自身のかかとや足裏を使って打撃を加えます。トラース・キックは、その威力や特徴から大技やフィニッシュ・ホールドとして使用されることが多い一方で、試合の流れを切り替える逆転技や、試合序盤や中盤の繋ぎ技としても頻繁に見られます。

起源と由来

この技の考案者はザ・グレート・カブキで、彼がケリー・フォン・エリックに対して行ったカウンターが契機となり、マネージャーのゲーリー・ハートがその時に叫んだ「This is thrust kick!」から名前がつけられました。英語の「thrust」という言葉は「突き刺す」という意味を持ち、それが日本では発音しやすい「トラース」として知られるようになりました。この技は特に米国で「スーパーキック」という名称でも知られ、クリス・アダムスがその第一人者として認識されています。1980年代中盤には、カブキとアダムスがテキサスのダラス地区で数多く対戦し、この技の普及に貢献しました。

使用方法と派生技

トラース・キックには、様々な調整があり、特に助走を付けたランニング式や、相手からの攻撃をカウンターとして仕掛ける方法があります。主な使用者には、アダム・コール、ショーン・マイケルズ、CIMAなどがいます。マイケルズはこの技をスウィート・チン・ミュージックとして知られ、特にダウンした相手にリズムを取りながら放つことが特徴です。

さらに、トラース・キックには派生技も存在します。例えば、相手をブレーンバスターの体勢で持ち上げ、そのまま前方へ放り投げた後で、着地と同時にトラース・キックを加える放り投げ式や、相手の背後から弧を描くように蹴るフック・キックなどがあります。後者は丸藤正道によって初めて使用され、マルフジ・キックと呼ばれています。

主な使用者

トラース・キックは、多くのレスラーによって使用されており、その技名や使用法も多彩です。以下に主要な使用者を挙げます。

• - ショーン・マイケルズ（スウィート・チン・ミュージック）
• - クリス・アダムス（スーパーキック）
• - 大仁田厚
• - ヨシハシなど

その他、ケビン・オーウェンズやタコヤキーダーなどもこの技を使用しており、各レスラーが独自にアレンジした技名を用いています。

まとめ

トラース・キックは、プロレスの中でも非常に注目される技の一つであり、攻撃力や流れを変える能力に優れています。この技を使いこなすレスラーは、試合の展開を一手に握る力を持っていると言えるでしょう。今後もこの技は多くのレスラーによって使われ続け、進化していくことでしょう。

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