トリイステーション

トリイステーション：沖縄の米軍基地

トリイステーションは、沖縄県読谷村にあるアメリカ陸軍の基地で、トリイ通信施設とも呼ばれています。その名の通り、基地のゲートには巨大な鳥居が設置されており、この鳥居がトリイステーションの象徴となっています。

概要

トリイステーションは、通信施設としての役割を担っており、米軍の西太平洋地域における戦略通信網の最重要拠点の一つです。しかし、その一方で、米陸軍特殊部隊（グリーンベレー）の訓練施設としても使用されており、その機能は多岐にわたります。

施設情報

名称: トリイ通信施設（FAC6036）
所在地: 沖縄県読谷村
施設面積: 1,895,000㎡ (2017年)
管理部隊名: 米陸軍トリイステーション基地管理本部
地主数: 1,355人
年間賃借料: 1,457百万円（2014年度）
駐留軍従業員数: 476人
使用部隊名: 米国陸軍第10支援群司令部、米国陸軍第1特殊部隊群第1大隊、第500軍事情報部隊沖縄支所、在日米陸軍通信部隊通信大隊、米陸軍トリイステーション基地管理本部

施設機能

使用主目的: 通信所
主な機能: 戦略通信網の維持、特殊部隊訓練

1986年には、陸軍第10地域支援群司令部が牧港補給地区から移駐し、在沖米陸軍の上級司令部となりました。また、1990年には、米陸軍宇宙部隊の移動通信衛星管制ターミナルが設置され、米軍の戦略通信における重要性が増しました。

トリイステーションの返還協定での使用目的は「通信所」ですが、実際には米陸軍特殊部隊（グリーンベレー）の要員が駐留しており、基地の警備を名目とした特殊部隊の訓練も行われています。

基地内にはトリイ・ビーチがあり、年に数回一般開放されています。このビーチは、米軍の4軍の兵士に利用されており、地域住民との交流の場ともなっています。

歴史

トリイ通信施設の成り立ち

トリイステーションの歴史は、沖縄戦における米軍の上陸地点となった1945年4月1日にまで遡ります。終戦後、この地は通信施設、車両整備場、軍需物資集積所として利用され、住民は一時的に収容所に収容されました。

1952年と1953年には、それぞれ「楚辺トリイステーション」と「楚辺戦略通信所」の建設のため、住民の土地が強制的に接収されました。これらの施設は1972年の沖縄返還協定で統合され、「トリイ通信施設」として提供が開始されました。

返還と拡張の歴史

1973年から1999年にかけて、トリイステーションの一部が段階的に返還されましたが、一方で、施設拡張のための土地の追加提供も行われました。

1973年：旧楚辺戦略通信所のアンテナ地区の大部分が返還。
1977年：27,000㎡が返還。
1979年：14,000㎡が返還。
1981年：隊舎や消防施設のために土地が追加提供。
1984年：陸軍第1特殊部隊（グリーンベレー）の再配備が開始。
1988年：衛星通信施設が建設され、駐車場や倉庫建設のために黙認耕作地の明け渡しが要求。
1996年：瀬名波通信施設のアンテナ施設がトリイステーションに移設されることが決定。
1999年：約38,000㎡ が返還。
2006年：瀬名波通信施設の土地が統合。
2015年：嘉手納バイパス整備に伴い、飛び地となっていた土地が返還。

楚辺地区の強制接収

1943年、楚辺地区は製糖工場を持つ集落でしたが、日本軍による飛行場建設により、住民の生活は一変しました。1945年の米軍上陸後、楚辺は米軍の占領下に置かれ、住民は収容所に収容されました。

1947年に住民の帰村が許可されたものの、1951年には「楚辺トリイ・ステーション」建設のため、再び立ち退きが命じられました。住民は現在の新「楚辺地区」に移住を余儀なくされました。

楚辺は古代からの歴史を持つ集落で、多くの遺跡が確認されています。また、地域には多くの聖地があり、現在も大切に守られています。

渡具知地区の強制接収

1945年、米軍は渡具知海岸から上陸し、渡具知前ヌ浜はイエロービーチと名付けられました。この地域は、工兵資材集積所として利用されました。

1949年に住民の帰村が許可されましたが、1953年には「楚辺戦略通信所」建設のために再び強制接収が行われ、住民は比謝後原への移住を余儀なくされました。その後、1973年に一部が返還され、住民は帰村を果たしました。

主な事件や事故

トリイステーション周辺では、過去に様々な事件や事故が発生しています。

1971年：嘉手納基地所属のジェット練習機が楚辺の畑に墜落。
1978年：基地からの排水管から未処理のし尿や生活排水が海に排出。
1980年：施設の排水溝から汚水が海に垂れ流し。
1988年：施設内で爆発事故が発生し、特殊部隊隊員が負傷。
2006年：輸送ヘリが軍用車両を海上に落下。
2009年：トリイステーション兵士によるひき逃げ事件。
* 2018年：基地からの騒音問題。

これらの事件や事故は、地域住民に不安を与え、基地に対する批判の声が高まる要因となっています。

特殊部隊の訓練基地として

トリイステーションは、通信施設としての機能だけでなく、米軍特殊部隊の訓練施設としての役割も担っています。

近年、米軍は特殊作戦部隊用の施設建設を進めており、インド太平洋地域における軍事作戦の拠点としての機能が強化されています。

まとめ

トリイステーションは、沖縄の歴史と深く関わりを持つ米軍基地です。通信施設としての役割に加え、特殊部隊の訓練基地としての側面も持ち合わせています。基地の存在は、地域住民との間に様々な問題を提起しており、その将来について議論が続いています。

この基地の歴史、機能、そして地域との関わりについてより深く理解することは、沖縄の米軍基地問題を考える上で非常に重要なことです。

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