トリュー級戦車揚陸艦

トリュー級戦車揚陸艦：フランス海軍の多用途揚陸艦

トリュー級戦車揚陸艦は、フランス海軍が運用していた戦車揚陸艦です。その設計はアメリカ海軍のLST（Landing Ship, Tank）を基にしている点が大きな特徴です。本級は、兵員輸送、物資輸送、そして上陸作戦支援という多様な任務に対応できる汎用性の高い艦艇でした。

設計と能力

アメリカ海軍のLSTを母型とするトリュー級は、その設計思想を色濃く反映しています。艦の両舷には、上陸用舟艇であるLCVP（Landing Craft, Vehicle, Personnel）を搭載するためのダビットが設置され、最大4隻のLCVPを運用可能でした。

兵員輸送能力においては、基本的には170名の上陸部隊を収容できました。状況に応じて、短期間であれば329名までの収容も可能でした。これは、緊急時や短期的な作戦において柔軟な対応を可能にする重要な要素でした。

物資輸送能力も非常に高く、補給任務に特化した運用も想定されていました。最大で糧食1,000トン、飲料水400トン、ディーゼル燃料270トンを搭載することができました。これは、長期間にわたる遠洋航海や、離島への補給任務を遂行する上で不可欠な能力でした。

1960年代後半には、海外領土における補給任務の重要性が増したことに伴い、トリューとブラヴェの2隻において改修が行われました。艦橋の前方にアルエットヘリコプター2機分の格納庫が設置され、ヘリコプターによる迅速な物資輸送や人員輸送が可能となりました。この改修によって、トリュー級の運用能力はさらに向上し、より広範囲な任務に対応できるようになりました。

同型艦

トリュー級は複数隻が建造されましたが、具体的な同型艦の数は資料によって異なり、確定的な数値を提示することは困難です。しかしながら、少なくともトリューとブラヴェという2隻の艦名は確認できます。これらの艦は、フランス海軍の海外領土における作戦や補給任務において重要な役割を果たしました。

まとめ

トリュー級戦車揚陸艦は、アメリカ海軍のLSTの影響を受けつつも、フランス海軍のニーズに合わせて設計・運用された多用途揚陸艦でした。兵員、物資、そしてヘリコプターの搭載能力を組み合わせることで、幅広い作戦任務に対応できる高い汎用性を誇っていました。特に、海外領土における補給任務においてその能力は高く評価され、フランス海軍の活動に大きく貢献しました。その設計思想や運用実績は、後続の揚陸艦の設計にも影響を与えたと考えられます。今後の研究においては、建造数や各艦の運用履歴などの詳細な情報が求められます。

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