トリーアのローマ遺跡群、聖ペテロ大聖堂、聖母聖堂

トリーアのローマ遺跡群、聖ペテロ大聖堂、聖母聖堂

ドイツの古都トリーアには、古代ローマ時代から中世にかけての貴重な遺産が数多く残されており、それらは「トリーアのローマ遺跡群、聖ペテロ大聖堂、聖母聖堂」としてユネスコの世界遺産に登録されています。この世界遺産は、トリーアの町に残る8つの遺跡と聖堂、そして近隣のイゲルに残る遺跡1つから構成されています。

登録対象

円形劇場 (Amphitheatre)：古代ローマ時代のアンフィテアトルムの遺跡。現存する同時代の円形劇場の中でも大規模なものの一つですが、中世に採石場として利用されたため、損傷が見られます。
モーゼル川の橋 (Moselle Bridge)：2世紀に建造されたローマ橋（Römerbrücke）。現在も交通インフラとして利用されています。
バルバラ浴場 (Barbara Baths)：2世紀以前に建造された浴場の遺構。ポルタ・ニグラや大聖堂からは少し南西に位置しています。
イゲルの円柱 (Igel Column)：トリーア近郊のイゲルという町に残る、高さ23mの円柱（墓碑）。葬礼芸術の観点から評価され、世界遺産に登録されました。
ポルタ・ニグラ (Porta Nigra)：2世紀末に建造された巨大な城門。中世には聖堂として利用された時期もあります。その建築的価値の高さから、世界遺産登録基準(1)の適用を受けています。
皇帝浴場 (Imperial Baths)：コンスタンティヌス帝の時代に建造された巨大浴場。古代ローマ時代の共同浴場としては最大級の規模を誇ります。
アウラ・パラティナ / バシリカ (Aula Palatina (Basilica))：コンスタンティヌス帝の時代に建造された宮殿。度重なる改築を経て、建造当初の姿に復元されました。
大聖堂 (Cathedral)：ドイツ最古の大聖堂であり、トリーアの司教座聖堂。聖ペテロ大聖堂とも呼ばれます。時代ごとの増改築により、様々な建築様式が混在しています。
聖母聖堂 (Church of Our Lady (Liebfrauenkirche))：1235年から1260年にかけて建造されたゴシック様式の聖堂。ドイツにおけるゴシック様式の聖堂としては最古の部類に属します。

登録基準

この世界遺産は、以下の登録基準を満たしていると評価されました。

(1) 人類の創造的才能を表現する傑作であること。
(3) 現存するまたは消滅した文化的伝統または文明の、唯一のまたは少なくとも稀な証拠であること。
(4) 人類の歴史上重要な時代を例証する建築様式、建築物群、技術の集積または景観の優れた例であること。
* (6) 顕著で普遍的な意義を有する出来事、現存する伝統、思想、信仰または芸術的、文学的作品と直接にまたは明白に関連するものであること。

トリーアのローマ遺跡群、聖ペテロ大聖堂、聖母聖堂は、古代ローマ帝国の繁栄と、その後のキリスト教文化の発展を物語る貴重な遺産群です。これらの建造物や遺跡は、歴史的、文化的、そして建築的にも重要な価値を持っており、世界中の人々を魅了し続けています。トリーアを訪れる際には、ぜひこれらの世界遺産を巡り、古代から中世にかけての歴史ロマンに浸ってみてください。

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