トリーナ

トリーナ（Trina）こと、本名カトリーナ・ラヴァーン・テイラー（Katrina Laverne Taylor）は、1978年 12月3日にアメリカ合衆国フロリダ州マイアミで生まれた著名なラッパーです。バハマとドミニカ共和国にルーツを持つ彼女は、マイアミのリバティーシティにある公営住宅やペンブロークパインズで育ちました。学生時代にはマイアミ・ノースウェスト高等学校でバトンガールを務めるなど、多様な経験を積みました。卒業後、AT&Tやユナイテッド・パーセル・サービス（UPS）での勤務を経て、不動産販売についても学んでいます。

ラッパーとしてのキャリアは1998年に始まりました。当時、トリック・ダディ（Trick Daddy）のアルバム『www.thug.com』に収録された楽曲「Nann Nigga」にゲスト参加したことが大きな転機となります。この曲は全米ラップ・チャートで3位に入るヒットを記録し、トリーナは音楽業界から注目を浴びるようになりました。この成功が契機となり、彼女はスリップ・ン・スライド・レコーズ（Slip-n-Slide Records）と契約を結びます。

2000年には待望のデビューアルバム『Da Baddest Bitch』をリリース。この作品は、Billboard 200で33位にランクインし、後にゴールドディスクに認定されるなど商業的な成功を収めました。アルバムからはタイトル曲「Da Baddest Bitch」や「Pull Over」といった楽曲がヒットし、彼女の地位を確固たるものにしました。

次作の制作にあたっては、グラミー賞受賞経験もある実力派プロデューサー、ミッシー・エリオット（Missy Elliott）が深く関与しました。こうして完成したセカンドアルバム『Diamond Princess』は、2002年8月27日に発表されました。このアルバムからは3枚のシングルが生まれ、特にリュダクリス（Ludacris）をフィーチャーした「B R Right」はヒットを記録しました。また、「No Panties」は彼女にとって初めてアメリカ国外でも発売されたシングルとなりました。

2005年 10月4日にはサードアルバム『Glamorest Life』がリリースされ、ビルボードのアルバムチャートで11位を獲得しました。このアルバムに収録されている、ケリー・ローランド（Kelly Rowland）を客演に迎えた楽曲「Here We Go」は、アメリカ国外のチャートにもランクインする国際的なヒットとなりました。『Glamorest Life』はアメリカ国内で40万枚以上の売上を記録するなど、順調なキャリアを築いていきました。

2007年には、『Rockstarr Royalty』と『Baddest Chick 2: Reloaded』という2枚の公式ミックステープを相次いでリリースし、精力的な活動を続けました。

続くフォースアルバム『Still da Baddest』は、当初の予定より2ヶ月近くのリリース延期を経て、2008年4月1日に発売されました。この作品は、ビルボードのラップ/R&Bチャートで第1位を獲得し、総合チャートであるBillboard 200でも6位を記録するなど、キャリア最高クラスの成功を収めました。同年には、マイアミを拠点とする女性ラッパー、ニシャ（Nisha）とアンG（An-G）と共にデュオ「プリティ・マネー（Pretty Money）」を結成するなど、コラボレーションや新たな音楽活動にも意欲的に取り組んでいます。プリティ・マネーは、トリーナの5枚目のアルバムにも客演が予定されていました。

彼女はその後も『Amazin'』（2010年）、『The One』（2019年）といったアルバムを発表し、多数のミックステープもリリースしています。

ディスコグラフィ（一部）

スタジオアルバム

Da Baddest Bitch（2000年）
Diamond Princess（2002年）
Glamorest Life（2005年）
Still da Baddest（2008年）
Amazin'（2010年）
The One (2019年)

公式ミックステープ（一部）

Rockstarr: Da Baddest Bitch Reloaded（2007年）
Rockstarr Royalty（2007年）
Millionaire's Girls Club（2009年）
Amazin' (The Mixtape)（2009年）

受賞歴

トリーナはこれまでの活動を通じて、複数の音楽賞にノミネート・受賞しています。ザ・ソース・ヒップホップ・ミュージック・アワードでは1回の受賞と4回のノミネート経験があります。また、MTVビデオ・ミュージック・アワードでは1回、ソウル・トレイン・ミュージック・アワードでは2回のノミネートを受けています。

長年にわたり、フロリダのヒップホップシーンを代表する存在として、そして女性ラッパーのパイオニアとして活躍を続けています。

もう一度検索