トルトゥーガ島

トルトゥーガ島の歴史と文化

トルトゥーガ島（スペイン語: Isla Tortuga）は、カリブ海の北部に位置し、ハイチの沿岸にある島です。この島は、17世紀に海賊の拠点として知られ、豊かな自然環境と戦略的な位置から、歴史的に重要な場所となりました。フランス語ではトルテュ島（Île de la Tortue）と呼ばれており、ハイチ語ではラトーチュ（Latòti）と称されます。

自然環境と戦略的な重要性

トルトゥーガ島は、イスパニョーラ島の北西沖にあり、亀の形をした特徴的な地形をしています。この島は、天然の港を有し、豊富な水源も備えているため、航海や交易に適した場所として重宝されてきました。特に、スペイン輸送船が通るエスパニョーラ島とキューバを結ぶウィンドワード海峡を抑えることで、海賊たちはこの地域での影響力を拡大していきました。

海賊時代の繁栄

17世紀前半には、イギリスとフランスの海賊たちがトルトゥーガ島に入植し、1625年には彼らがこの地を拠点としました。1629年、スペイン軍がファドリケ・デ・トレドの指揮のもとで島を占領し砦を築きましたが、翌年にはフランス人によって再び奪われてしまいました。フランス人はその後、港にロシェル砦を建設し、さらなる拡張を図りました。

島はフランスとイギリスによって分割され、オランダも遅れてこの地域に参入しました。海賊たちはこの場所で共同生活を送り、派手な娯楽や歓楽街が発展しました。1633年には、最初の黒人奴隷が島に到着し、経済活動が活性化しました。一方で、この地は治安が非常に悪く、「世界の掃き溜め」とも呼ばれました。

スペイン海軍は何度も海賊狩りを行いましたが、海賊たちはうまく逃げ延び、再び島を奪還することに成功しました。1645年にはフランスが海賊の定着を狙い、1,650人の娼婦を輸入しました。しかし、1670年代になると、海賊の活動は次第に沈静化し、木材貿易など新たな経済の担い手も現れ始めました。

海賊の衰退とその後

1680年にイギリスで外国船による海賊行為が禁止されると、かつての栄華を誇った海賊たちは衰退します。1684年にはフランスとスペインの間で和平が結ばれ、海賊たちの略奪対象が減少したため、彼らは互いに敵対するようになりました。また、1697年にはレイスウェイク条約によってサン＝ドマングの領有権がフランスに移譲され、島の運命はさらに大きく変わりました。

大衆文化における影響

トルトゥーガ島は、後世において多くの文学や映画で取り上げられ、特に17世紀から18世紀のカリブの海賊たちの物語において重要な舞台となりました。2003年に公開された映画『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズでは、島が海賊たちの集う場所として描かれ、多くの人々にその存在を知らせました。

このように、トルトゥーガ島は単に美しい自然を持つ場所であるだけでなく、歴史的にも非常に意義深い地域であることがわかります。

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