トルドヴィキ

トルドヴィキ：20世紀初頭ロシアの左翼政党

トルドヴィキ（Трудовая группа）は、20世紀初頭のロシアにおいて重要な役割を果たした左翼政党です。本稿では、その歴史、思想、そしてロシア革命における位置づけを詳細に解説します。

誕生と躍進

トルドヴィキは、1905年のロシア第一革命後の1906年、元社会革命党活動家アレクセイ・アラジンによって設立されました。1906年3月の第一議会選挙では、社会革命党やロシア社会民主労働党が選挙ボイコットを行う中、トルドヴィキは着実に支持を伸ばし、97議席を獲得。議会第二党に躍進しました。しかし、ツァーリ政府は自由主義・社会主義勢力の台頭を警戒し、議会を短期間で解散させました。

翌1907年1月に行われた第二議会選挙では、トルドヴィキは104議席を獲得し、議会第一党にまで成長しました。ボイコットを放棄した社会革命党やロシア社会民主労働党も議席を獲得したため、議会では社会主義勢力が過半数を占める事態となりました。この事態を憂慮したストルイピン首相は、左派政党への弾圧を強め、選挙法を改変して保守勢力に有利な制度へと改めました。

その結果、トルドヴィキは大きな打撃を受けました。1907年10月の第三議会選挙では13議席、1912年9月の第四議会選挙ではわずか10議席しか獲得できず、勢力は衰退していきました。

二月革命と十月革命

1917年3月の二月革命では、トルドヴィキはロシア国会臨時委員会を支持し、臨時政府に参加しました。しかし、アレクサンドル・ケレンスキーの社会革命党への移籍など、党内は混乱を極め、6月には人民社会党と合流しました。

1917年11月の十月革命では、トルドヴィキはボリシェヴィキの武装蜂起を批判し、反ボリシェビキの立場を鮮明にしました。しかし、内戦に敗北し、党は崩壊しました。

トルドヴィキの思想

トルドヴィキは、ナロードニキ運動の思想を受け継いでいました。社会革命党と同様に、農地の社会化（国有化ではなく農村共同体の財産とする）、農民・労働者の救済、政治犯の恩赦などを主張しました。しかし、二月革命後には立憲民主党などのブルジョワ政党と連立政権を組み、ボリシェヴィキによる暴力革命には反対しました。この点で、社会革命党やロシア社会民主労働党とは異なる立場を取っていました。

まとめ

トルドヴィキは、短命に終わったものの、20世紀初頭のロシア政治に大きな影響を与えた政党でした。社会革命党との複雑な関係性、議会における台頭と衰退、そしてロシア革命における役割は、ロシア革命史を理解する上で重要な要素です。彼らの歴史を紐解くことで、当時のロシア社会の複雑さと、革命のダイナミズムをより深く理解することができるでしょう。

参考文献

加納格「1905年革命のトルドヴィキ」『歴史学研究』第518号、青木書店、1-17頁、1983年7月。
池田嘉郎「ロシア革命破局の8ヶ月」岩波書店、2017年1月20日

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