トルニオ

トルニオは、フィンランドのラップランド地方に位置する、歴史と文化が豊かな町です。スウェーデンのハパランダと隣接し、両都市は「ユーロシティ」として統合に向けた動きが進められています。この地域は、最終氷期末期から人類が定住していたとされ、スカンディナヴィアで最も古い集落跡の一つが発見されています。

歴史

トルニオの歴史は、トルネ川のデルタ地帯における人々の定住から始まりました。ヴァイキング時代以前から人が住んでおり、1621年にはスウェーデン王から特許を得て正式に町が建設されました。当時、トルニオはラップランドにおける貿易の中心地として栄え、スウェーデン領内で最も豊かな町の一つとされていました。しかし、18世紀には、川の浅水化やスウェーデンとロシアの戦争により、その繁栄は衰退に向かいました。

1808年のスウェーデンとロシアの戦争の結果、フィンランドはロシアに占領され、トルニオはロシア領となりました。この際、ラップランドは分断され、貿易に大きな影響が出ました。その後、スウェーデンは国境沿いにハパランダを発展させ、トルニオの衰退を相殺しようとしました。1917年のフィンランド独立後、トルニオは再びフィンランドの一部となりました。

第一次世界大戦中には、トルニオとハパランダを結ぶ鉄道が、ロシアと西欧連合国を結ぶ唯一の鉄道として重要な役割を果たしました。また、フィンランド内戦やラップランド戦争の舞台ともなりました。

文化と経済

トルニオは、歴史的な木造教会が残るなど、豊かな文化遺産を持っています。第二次世界大戦後には、地元のラピン・クルタ醸造所やオウトクンプ・ステンレス鋼工場の成功により、雇用が生まれました。また、国境地域の観光業も発展し、専修学校や応用科学大学が設立されるなど、教育の中心地としても成長しました。

ユーロシティ構想

現在、トルニオとハパランダは、国境を越えた統合を目指す「ユーロシティ」構想を進めています。両都市の間に新たな中心市街地が建設され、共通の公共機関が設置される予定です。国境にはゴルフ場が位置し、ハパランダにあるIKEA店舗ではスウェーデン語とフィンランド語の二言語表記が採用されるなど、両都市の文化的な融合が進んでいます。

スポーツと交通

スポーツでは、トルニオン・パッロヴェイコット (ToPV) がフィンランドのバンディ選手権で数回優勝しています。また、サッカー選手のテーム・タイニオはトルニオの出身です。

交通面では、フィンランドとスウェーデンで鉄道の軌間が異なるため、トルニオには台車交換所や軌間変換装置が設置されています。また、ケミ＝トルニオ空港が近くにあります。ケミンマーとトルニオを結ぶ高速29号線は、世界最北の高速道路であり、欧州ルートE4号の北端でもあります。

姉妹都市

トルニオは、以下の都市と姉妹都市提携を結んでいます。

ハパランダ（スウェーデン）
ディバイジズ（イギリス）
ハンメルフェスト（ノルウェー）
イカスト（デンマーク）
キロフスク（ロシア）
セクサールド（ハンガリー）
* ヴェトランダ（スウェーデン）


トルニオは、その歴史的な背景、独特の文化、そして国境を越えた都市統合の試みを通じて、多様な魅力を持つ町です。

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