トルマリン

トルマリン (Tourmaline)

トルマリンは、ケイ酸塩鉱物に属する複雑な組成を持つ鉱物群を指します。この鉱物が特徴的なのは、結晶に熱を加えることで電気を帯びる性質があり、そのため「電気石」とも称されます。2021年には、国際鉱物学連合によって最新の定義が与えられ、多くのバリエーションが存在します。

成分と種類

トルマリンは、固溶体を形成しやすく、その組成は非常に多様です。基本的な化学式は、XY3Z6(T6O18)(BO3)3V3Wであり、X、Y、Zなどの元素により多くの種類が存在します。2023年時点で39種のトルマリンが公式に承認されていますが、未承認のものもあります。主な種類には以下があります。

• - 鉄電気石 (Schorl): 主に花崗岩に産する。
• - 苦土電気石 (Dravite): 変成岩中に多く見られる。
• - リシア電気石 (Elbaite): ペグマタイトから採取される。
• - オーレン電気石 (Olenite): 主に酸化鉱物からなる。
• - 鉄灰電気石 (Feruvite): 層状構造を持つ。
• - 灰電気石 (Uvite): 様々な金属が混在する。
• - フォイト電気石 (Foitite): 組成に空隙を含む。
• - 丸山電気石 (Maruyamaite): 日本で発見された珍しい種類。

産出地

トルマリンは多くの地域で採掘されており、ブラジル、モザンビーク、ナイジェリア、スリランカ、アメリカ合衆国などが主な産出地となっています。特にスリランカ産の苦土電気石は有名です。

特徴と性質

この鉱物は三方晶系に属し、モース硬度は7から7.5の範囲を持つため、比較的堅牢です。また、トルマリンは弱い圧電体であり、圧電効果や焦電効果を示します。これは、その特性から吸収型偏光子としても利用されることがあります。

用途と加工法

トルマリンはその多産性から様々な用途に利用されますが、特に含銅リシア電気石（パライバ・トルマリン）は希少価値が高く、宝石として珍重されています。ブラジル産とアフリカ産のパライバトルマリンは色合いが異なり、ブラジル産は濃い色合いで知られています。

宝石としてのトルマリン

トルマリンには多彩な色合いがあり、無色から紫、青、緑、黄、褐色、赤、ピンク、黒まで多様です。それぞれの色により異なる名称が付けられていますが、これが時に混乱を招くことがあります。たとえば、赤色のものはルベライトと呼ばれ、青色はインディコライトと称されます。色の種類は非常に広範であり、それぞれの宝石名には特定の色合いが反映されています。

また、トルマリンにはキャッツアイ効果を持つものもあり、品質によって評価が異なります。特に、変色効果を示すアレキタイプトルマリンは希少性が高いとされています。

健康への応用

1990年代後半から2000年代初頭にかけて、トルマリンを使用した製品が注目を集めました。研究では、トルマリンを織り込んだ布が遠赤外線効果やリラックス効果をもたらすとされました。また、コーヒーの鮮度保持についても、トルマリンが特定の酸化物質の増加を防ぎ、風味を保持する可能性が認められています。しかし、一部の研究者はトルマリンに基づく商品は科学的な根拠が薄いと反論しています。

結論

トルマリンはその独自の性質と美しい外観から、多彩な用途を持つ重要な鉱物です。宝石としての魅力だけでなく、健康や工業用途においても興味深い特性を持っています。そのため、今後の研究や利用の展開が期待される鉱物の一つです。

もう一度検索