トレーサビリティ (計測器)

トレーサビリティとは

トレーサビリティは、測定結果や標準の値を特定の基準に関連付けるための仕組みを指します。この概念は、測定における不確かさを明示した連鎖的な比較を通して、どうにかして得られた結果が信頼できるかどうかを評価するものです。基準とされるものは、多くの場合、国家標準や国際標準に基づいています。これは、JIS Z8103:2000に記されている定義でも確認できます。

過去には、トレーサビリティは「標準器や計測器がより高次の標準に基づいて校正され、国家標準へとつながる経路が確立されている程度」と解釈されていました。しかし、ISOとの整合性を図るため、この定義は現在の形に見直されています。

トレーサビリティチャート

トレーサビリティチャートとは、特定の校正に利用された機器の校正経路を記載した文書のことです。この用語で言われるトレーサビリティは、主にこの書類を指します。とはいえ、トレーサビリティチャート自体が必ずしも計測器のトレーサビリティを保証するものではありません。

校正事業者は、様々な審査機関（例えばJCSSやA2LA）による厳しい審査を受け、国際的に定められた基準（ISO/IEC 17025|ISO_IEC 17025）に適合していることが確認されると、認定を得ることができます。その際、認定された範囲内においては、審査機関のロゴが印刷された校正証明書が発行されることになります。このロゴは、トレーサビリティを保証するものとして認識されており、それゆえにトレーサビリティチャートは必要ではないのです。

トレーサビリティチャートは、ISO 9000などの品質マネジメントシステムの普及が進んだ当初、標準供給が追いつかなかったため、暫定の措置として導入されました。このため、校正証明書を得ることが難しかった時期の産物と言えるでしょう。しかし、JCSSなどのシステムが整備された現在においては、トレーサビリティチャートが用いられる場面は少なくなっています。ISO 9000など、確立されたマネジメントシステムの中では、トレーサビリティチャートを用いて保証されることは一般的ではありません。

脚注

本稿で取り上げた情報は、以下の文献に基づいています。

• - JIS Z 8103:2000「計測用語」（日本産業標準調査会、経済産業省）
• - VIM（国際計量用語集）

関連項目

• - 不確かさ（測定）
• - ISO/IEC 17025|ISO_IEC 17025
• - 正確度と精度
• - 計測機器の一覧
• - 標準原器
• - 枡座・秤座: 江戸時代に度量衡の計測器を一定にすることを目的に設置された座。

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